夢の雫、薔薇色の烏龍
(ゆめのしずく、ばらいろのウーロン)
2017年1月号サイドパロ
【あらすじ】
ギュルバハルはスレイマンのヒュッレムへの寵愛を邪魔するために、
自分の配下の妾を母后のお茶会で紹介しようと試みます。
ヒュッレムの心の中にはイブラヒムがいるのに、いざスレイマンが他の妾を召そうとしている
ところを目の当たりにすると、やはり心がざわつきました。
ですが、スレイマンはギュルバハルの仕組んだ美しい妾よりもヒュッレムを選んだのです。
ギュルバハルのもくろみは失敗に終わります。
ヒュッレムは二人目の女の子を無事に出産します。スレイマンは名前をミフリマー(太陽と月)と名付けます。
エジプトにいるイブラヒムの元にもヒュッレムが無事に女の子を出産した書簡が届きます。
イブラヒムは皇女誕生を素直に喜べませんでした。
スレイマンの後見には確実に陛下の御子を推したい。だから二人目も皇子でなければいけないと考えていました。
メフメト皇子は自分の子かも知れないという思いが拭いされなかったからです。
【サイドパロ】
「イブラヒム、落としたぞ」
ラムセスはイブラヒムが落とした書簡を拾う。
「だめなのだ……」
イブラヒムは魂の抜けたような表情で呟く。
「何がだめなのさ」
ラムセスは小さく溜息をつきながらたずねる。
「皇女ではだめなのだ」
イブラヒムは強い口調になる。
「別にいいじゃないか、スレイマン様には皇子が二人もいるんだから、皇女様がいたって……」
「いや、ヒュッレム様には何としてでも皇子を産んでもらわなくては!」
ラムセスが言い終わらないうちにイブラヒムは独り言のように呟く。もはやラムセスの言葉は聞いていないようである。
ラムセスは考えた。
何故女の子ではだめなのだろう。イブラヒムがこんなに真剣に悩む理由は……。
――やはり、あれか。
メフメト皇子はイブラヒムの子である可能性があるからだ。忠誠心の強いイブラヒムとしては
確実にスレイマン陛下の子を後見に推したいのであろう。
ラムセスはその事実を一応知らないことになっているので、静かにイブラヒムの元を去った。
さて、そういえば俺にも書簡が来ていたっけ……。
ラムセスは書簡の筒をあける。中身はヒュッレム付きの女官、サハルからだった。
内容は、ギュルバハルが自分の配下の妾を母后のお茶会で紹介し、ヒュッレムの寵愛を奪おうとした。
というものだった。結局は失敗に終わり、スレイマン陛下はヒュッレムを選んだという。
サハルにとっては自分が仕えるヒュッレム様が一番で、それを邪魔するギュルバハルが許せないと
つらつらと書き連ねてあった。
「……」
イブラヒムといい、サハルといい。なんてみんな主人に忠実なのだろう。
まあ、主人がどうなるかで自分の進退も大きく左右されるのだから仕方ないかもしれないが……。
自分はエジプト人だし、ましてこの時代の人間でもない。だからみんなよりも冷静な目で物事を見られるかもしれない。
ラムセスはそう思い、もう少しこの世界をよく見てみようと思った。
【感想】
毎回そうですけれど、今回は特に宮殿が細かく丁寧に描かれていると思いました。
トプカプ宮殿に行ったことがあるから、尚更思います!
9巻の表紙が姉プチ巻頭カラーの見開きですね。9巻はスレイマンの金髪が途中で途切れているけど、
姉プチではシャンプーの宣伝のようになびいてます(笑)。
こういう絵を見られるところも雑誌を買っている利点ですかね♪