夢の雫、薔薇色の烏龍
(ゆめのしずく、ばらいろのウーロン)
2016年3月号サイドパロ
大宰相イブラヒムと皇妹ハディージェの結婚式。
イスタンブル中の民が二人の結婚を祝う。
テオドシウスのオベリスクのある戦車競技場広場には、皇帝陛下の信頼の厚い大宰相を
一目見たいと思う民たちが集まっていた。
そんな中、ラムセスとメフメトは浮かない顔で思わず見つめあう。
「みんなのように素直に喜べるか? メフメト」
「喜べるわけないでしょう。お二人の気持ちを知っているのに……」
「そうだよな」
ラムセスは溜息をつく。メフメトが言ったお二人とは、イブラヒムとヒュッレムのことだ。
二人の想いあう気持ちを知っているのに喜べるわけがない。
ラムセスとメフメトはもう一度顔を見合わせる。
二人で「はぁ〜」と同時に溜息をついた。
華やかな結婚式を祝う音楽と皆の声がなんだか遠くに聞こえる。
作られた喜びの空間のような気がして……イスタンブルの青い空とボスボラスの蒼い海を見つめると
なんだかラムセスは胸が締め付けられる思いがした。
婚礼の式典が落ち着いたトプカプ宮殿の御前会議。
スレイマンは、エジプトに討伐軍を送る総司令官をイブラヒムに命じた。
御前会議を裏で聞いていたメフメトは即座にラムセスを見つめる。
「エ、エジプト……」
ラムセスは驚きのあまり思わず声に出す。
「ラムセス、エジプトですよエジプト。イブラヒム様が総司令官で行くということは……」
メフメトの続きの言葉を聞かなくてもわかる。ロードス島にもイブラヒムの小姓として供をし、
役に立ったと褒められたばかりだ。一緒に連れて行ってくれる可能性はかなり高いであろう。
自分の生きた世界よりも1000年後の祖国。その土地に足を踏み入れるとどうなるのであろうか?
ラムセスの頭の中には、今、様々な考えが巡り、鼓動が速くなるのが感じた。
ラムセスは軽く息を整えゴクリと唾を飲み込んだ。
♪おわり
【あらすじ】
前半はイブラヒムとハディージェの結婚式の模様が描かれています。
イブラヒムはヒュッレムの後見だから、妾たちはヒュッレムに「おめでとうございます」と
声をかけます。ですが、やはりヒュッレムは素直に喜べません。
ハディージェはイブラヒムと結婚するが、ヒュッレムにこれからも友達でいてくれるかと問いかけます。
想う人と添うことができない。同じ想いで苦しんでいる方を憎むことなどできない。
ヒュッレムはハディージェの幸せを心から祈ります。
エジプトでは、エジプト総督に命じたアフメットが、半年前オスマン帝国に反旗を翻して
皇帝を名乗っていました。このアフメットを征伐するための総司令官としてイブラヒムが命じられます。
【感想】
サイドパロ、短くてすみません。
次号、ラムセス活躍ができるくらいいっぱいエジプトが出てきますように。
エジプト行きました、はい征伐して帰ってきましたの1コマで終わりませんように。
ラムセスが活躍できるくらいのコマ数が裂かれますように( ̄人 ̄)
裂かれなくとも無理やり書きますが(笑)。
表紙はハディージェの婚礼の衣装かな? すごく綺麗です。好きです♪
コミックスに是非収録されますように。
でも結婚した早々、エジプトの総司令官って、現在に例えると結婚した早々、奥さん残して
海外転勤みたいなものでしょ。いやぁ〜、どの時代もブラックだねぇ〜。え? 違う?(笑)。
それでは、また(^_^)/~