赤髪の白雪姫2次小説
ミツヒデの日記
ゼンに仕え始めたときからのミツヒデの日記です。
ギャグ風に書いてあります。ゼンが横暴気味です。
ミツヒデ内職してますが深く考えずにお読みください。(笑)
1ページ目 2ページ目
2ページ目
×月△日
リドの逆賊、弓矢番アトリの一件があり、ゼン様はしばらく謹慎の身となった。ゼン様のお心を考えると、さすがの私も句を詠む気になれない。
何日かたったある日のこと、ゼン様が「焼きそばパンが食べたい」と仰った。食欲は出たのは良い兆しだ。嬉しくなり、造花作りで稼いだ小銭を持って城下へ走ってゆく。焼きそばパンを5個購入した。
「ゼン様、焼きそばパンですっ!」
ゼン様に早く焼きそばパンを召し上がっていただきたく、城下から帰ってきた私は王宮の廊下を全速力で駆け抜ける。息を切らせながら焼きそばパンを差し出すと、ゼン様はパクリと一口かぶりついた。
「ミツヒデ、お前も食べるといい」
ゼン様は5個あるうちの一つを私に下さった。「ありがとうございます」と言い、一緒に焼きそばパンを食べる。
「うまいな、焼きそばパン……」
そう呟くゼン様の目には涙が浮かんでいた。ゼン様の柔らかそうな頬に一筋の涙が伝わる。
「おいしいですね、焼きそばパン……」
ゼン様のお姿を見ていたら、自然と自分の頬にも涙が流れていた。二人で肩を震わせながら焼きそばパンを食べる。
ゼン様の味方になる者はきっと存在する。信頼できる者は必ずいると伝えたかった。今回の事件を乗り越えて強くなって頂きたかった。
だけれども、今は涙が溢れてゼン様に伝えることはできなかった。一緒に泣くしかできなかった。
紅ショウガのしょっぱさが身にしみた。
□月〇日
ゼン様は女剣士のセイラン家のご令嬢、木々殿に興味を持ったようだ。、木々殿と初めて会った時、ゼン様と同じ年頃の少年だと思っていた。女性だと知った時には度肝を抜かれた。
木々殿への次の約束を取り付けるための手紙をゼン様に書かされた。王族方の手紙の代筆なんて珍しいものではないが、もしゼン様に心を寄せる方ができたら、ご自分で書いて頂きたいと思う。
□月×日
木々殿がゼン様の側近となった。同僚が増えるのはいいことだ。それもかなりの美人。毎日が楽しくなりそうだ。
空いた時間に造花作りの内職をしていると、木々殿が部屋に入って来た。「何してるの?」と聞かれたので、「造花作りの内職をしています」と普通に答えた。
今日一番上手くできた造花の一つを、「木々殿に似合います。どうぞ」と、差し上げてみた。木々殿は眉間に皺を寄せ渋い顔になる。「これってトイレとかに飾る造花じゃないの?」と聞かれたので「そういう所に飾る場合もある」と素直に答えた。木々殿の造花を持つ手が震える。数秒の沈黙の後、「ふざけないで!」と木々殿は怒鳴り、造花を投げつけて部屋を出て行ってしまった。なんとも子爵令嬢のご機嫌をとるのは難しい。
木々殿が出て行った後も黙々と造花作りを続けた。手元が暗くなってきたと思い外を見ると、日が沈みかけていた。白い月がぽっかり窓の外に浮かんでいる。また句を詠みたくなった。
今日も一日暮れてゆく。
□月☆日
前から何度も言われているが、ゼン様を「ゼン」と呼ぶように念を押されてしまった。王子殿下を呼びつけるなんてとんでもないことだ。できないと思っていたが、木々殿はすぐに順応し、「ゼン」と呼んだ。さすがが木々殿だ。
そうだ、今ここでゼン様を思う句を詠もう! ゼン様への想いをすべて俳句に詰め込んで、ゼン様をこれから「ゼン」と呼べるようにするのだ。
目を瞑り、ゼン様を想い句を考える。
これしか浮かばなかった。
☆月〇日
前の日記から数年の時がたってしまった。
今までの日記を読み返すとなんだかおかしい。王宮勤めに慣れなかった頃の自分を思い出す。自分が書いた日記なのに思わず吹き出してしまった。今となっては造花作りも句を詠むこともなくなったが、久しぶりに日記でも書いてみようと思う。
***
タンバルンとの国境付近で一人の少女に会った。
林檎のような美しい赤い髪を持ち、名前は白雪と言う。
白雪と会ってゼン様は強くなられている。良い出会いのようだ。ゼン様の側近として、これから二人のことを見守りたいと思う。
おっと、この日記を書いていたら、思わず「ゼン様」と書いてしまった。やはり私の中でゼンは「ゼン様」だ。
これからどこまでもゼン様についてゆきたい。いつも側にいて見守っていたいのだ。木々もオビも白雪も――みんなゼン様と共にある。
おわり