呼吸機能検査の計算をマスターしよう!
2級臨床検査士の筆記問題に頻繁に出題される計算問題について解説します♪(^-^)
1.BTPS係数 |
2.He閉鎖回路法の機能的残気量(FRC)の求め方 |
3.大気、肺胞気の酸素分圧 |
4.肺胞気動脈血酸素分圧較差(Aa-DO2) |
5.酸素含量 |
6.二酸化炭素排出量(Vco2) |
7.気道可逆性試験(BRI)の改善率と改善量の求め方 |
参考文献はこちらを使用しています。
最新臨床検査学講座 生理機能検査学
じっくり読むと計算方法が載っています。
すぐにお返事に2~3日かかるかもしれませんが質問OKです。
当ページは個人ページです。各種団体様とは関係ありません。
間違いがありましたら、優しく教えてね♪(^-^)
neneswprld@nenesworld.com
1.BTPS係数
ボイル・シャルルの法則:体積(V)は圧力(P)に反比例し絶対温度(T)に比例する
検査をしている状態はこーゆー状態↓
温度 | 圧力 | 水蒸気圧 | |
ATPS(計測器の状態) | 室温℃ | 測定時の大気圧mmHg | 飽和状態 室温での圧力PH2O |
BTPS(体内の状態) | 体温37℃ | 測定時の大気圧mmHg | 飽和状態 47mmHg |
STPD(標準状態) | 0℃ | 1気圧(760mmHg) | 乾燥状態 0mmHg |
Q 室温20℃、飽和水蒸気圧17.5mmHg、大気圧750mmHgのとき、BTPSファクターを求めなさい。
A ボイル・シャルルの法則を使って求めます。(ブルーがBTPS、ピンクがATPS)
教科書の変換した式を覚えるよりもボイル・シャルルの法則を使って計算した方が
記憶に残りますのでおすすめです(*^▽^*)!
2.He閉鎖回路法の機能的残気量(FRC)の求め方
Q Heを指示ガスとする恒量式閉鎖回路法により機能的残気量の測定をおこなった。最初のHe濃度は10%、平衡後のHeの濃度は6%であった。
このときの回路内の容積(呼吸計の死腔)は3.00L、加えたHe混合ガスの量は4.00Lである。機能的残気量を求めよ。
A 平衡前=平衡後の式にします。
平衡後は機能的残気量の分だけHeが薄まります。
注:%は100分率にして計算します。 例:10%→0.1 6%→0.06
平衡前 | 平衡後 | |
(3L+4L)×0.1 | = | (3L+4L+FRC)×0.06 |
7×0.1 | = | (7+FRC)×0.06 |
0.7 | = | 0.42+0.06FRC |
0.28 | = | 0.06FRC |
4.67 | = | FRC |
FRC=4.67L ←この値にBTPSファクターをかけるのを忘れずに!(1.BTPS係数参照)
3.大気、肺胞気の酸素分圧
(1)大気の酸素分圧
1気圧=760mmHg、酸素濃度は21%より
760mmHg×0.21=159.6mmHg
(2)吸った空気の酸素分圧(PIO2)
体温 37℃で空気を100%加湿したのときの水蒸気圧 47 mmHgを引く!
(760mmHg-47 mmHg)×0.21=149.73mmHg≒150mmHg
(3)肺胞の酸素分圧(PAO2)
肺胞にはCO2もあるのでCO2の分を引く。
(760mmHg-47 mmHg)×0.21-PaCO2/0.8(呼吸商)
*PaCO2が40 mmHg(肺胞気の通常のPaCO2濃度)だとすると……
(760mmHg-47 mmHg)×0.21 | - | 40mmHg/0.8 | = | 150-50 | = | 100mmHg |
吸った空気の酸素分圧 | CO2の分 |
大気圧(760mmHg)、酸素濃度21%のだと、PaO2の基準値が80~100mmHgであることにも納得!
(100mmHg以上にはならない)
Q エベレストの山頂(大気圧245mmHg)における吸入気酸素分圧(mmHg)を求めよ。飽和水蒸気圧は47mmHgとする。
A (247mmHg-47mmHg)×0.21=42mmHg
ううっ!これは息苦しい!(>_<)
肺胞気と動脈血の酸素分圧較差(そのままですね(^-^;)
基準値:10mmHg
肺胞気(A) | - | 動脈血(a) |
(大気圧-47)×0.21-PaCO2/0.8 | - | PaO2 |
Q 室内気でPaO2 60mmHg、PaCO2 60mmHgであった患者の肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)を求めよ。大気圧は760mmHg、飽和水蒸気圧は47mmHgとする。
A (760mmHg-47mmHg)×0.21-60mmHg/0.8-60mmHg=149.73-60=14.73
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5.酸素含量
Q 動脈血ガス分析の結果、PaO2 96mmHg、SaO2 98%、Hb 12g/dLであった。酸素含量を求めよ。
A
CaO2(酸素含量) | = | 0.003×PaO2 + 1.34×Hb ×SaO2/100=0.003 |
= | 0.003×96+1.34×12×98/100 | |
= | 16.0mL/dL |
6.二酸化炭素排出量(Vco2)
Q.測定時の大気圧760mmHg、室温24℃、飽和水蒸気圧は22mmHgであった。体温37℃の被検者の分時換気量(VE)4.84L/min(BTPS)、呼気CO2濃度(FECO2)4.0%であった。二酸化炭素排出量(Vco2)を求めよ。
A
①分時換気量4.84L/min(BTPS)の呼気CO2濃度を算出します。
4.84L/min × 0.04(4.0%) = 0.1936L/min
②0.1936L/minはBTPSなので、ボイル・シャルルの法則を使ってSTPDに変換します。
STPD | BTPS | |
760mmHg × STPD(L)/273℃+0℃ | = | (760mmHg-47mmHg)× 0.1936(L)/273℃+37℃ |
2.78×STPD | = | 0.44528 |
STPD | = | 0.160L/min |
= | 160ml/min |
7.気道可逆性試験(BRI)の改善率と改善量の求め方
【気道可逆性試験】
改善量=吸入後1秒量-吸入前1秒量
改善率(%)=(吸入後1秒量-吸入前1秒量)/吸入前1秒量×100
*改善率12%以上、かつ改善量200mL以上を可逆性ありと判定する。
例1:吸入前1秒量 2.47L、吸入後1秒量 2.55L
改善量=2.55-2.47=0.08L=80ml
改善率=0.08/2.47×100=3.2%
改善なし
例2:吸入前1秒量 1.67L、吸入後1秒量 1.94L
改善量=1.94-1.67=0.27L=270ml
改善率=0.27/1.67×100=16.1%
改善あり
計算問題は以上になります。
私は以下を参考にしています。
技術教本よりも医学検査の別冊雑誌がオススメ。
臨床検査 2017年 10月号増刊号 呼吸機能検査 BASIC and PRACTICE
2021年に出版された呼吸器ハンドブックも参考にしてください。
呼吸機能検査ハンドブック
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