気まぐれ顕太郎日記

俺は顕微鏡の顕太郎。
俺の気まぐれ日記の一部をちょっと紹介してやろう。


○月□日
 今日の俺は、すこぶる機嫌が悪い。俺を使
ってる担当のA子が、俺のことを接眼レンズ
からジロジロ見ている。
「ジロジロみてんじゃねえ、A子! 何、ガ
ンつけてるんだ!」


○月△日
 今日の俺は、すこぶる機嫌がいい。俺を使
っている担当のA子が、俺のことを接眼レン
ズからジロジロ見ている。
「A子、俺ってそんなにいい男か? 照れる
ぜ!」


△月□日
 12時から13時。俺達を使っている検査
技師達の昼休みだ。休みは顕微鏡にとっても
同じこと。日中、使い通しの俺達顕微鏡の電
源が、唯一切れる時間だ。1時間でも電源を
切ってもらえると、かなり体(顕微鏡本体)
が冷えるので助かる。
 …それをA子の奴! 電源を切り忘れて昼
飯を食いに行きやがった!
(暑いよぉ〜。体が火照る〜。誰か俺を消し
てくれーっ!)
 一生懸命悲鳴をあげてみたが、結局、A子
が昼飯から戻ってくるまで、俺の電源はつけ
っぱなしだった。
(光源ランプの寿命が縮んだら、A子! お
前のせいだぞっ!)


△月○日
 今日のA子と先輩のアホな会話。先輩の、
「国民総生産は、約すと何て言う?」
 という質問に、
「GPT」
 とA子は迷いもなく答えていた。
(アホ! GPTは肝臓の転移酵素だっ! 
国民総生産はGNPだろっ!)


□月×日
 末梢血の血液像もほぼ読めるようになった
ので、今日から骨髄標本(マルク)のスライ
ドを見る練習をすることになったA子。
 何を血迷ったかA子の奴、先輩に…、
「マルクのディスカウントお願いします!」
 先輩から指導してもらうためのディスカッ
ションのことを、言葉を間違えてディスカウ
ントと言っていた。
 安売りしてどうする? A子……。


以上、俺はこんな毎日を送っている♪


医学書院 検査と技術 2001年1月号コーヒーブレイク掲載


***
最初の「ジロジロ見てんじゃねえ!」は、STSのガラス板法を
見ていたときに思いつきました。
ディスカウントは実話です。実習生のとき実習ノートに
「血液像ディスカウント」と書いて笑われました。



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