***3匹のこぶた編***



 
わんすあぽんあたいむ。
 のどかな森に3匹のこぶたの兄弟が住んでおりました。
「長男巽、次男都筑、三男密。お前達は充分に大きくなった。これからは自分で家を建てて
ひとりで暮らしていくんだよ」
 近衛父が子供達に向かって言いました。
「はーい、父さん」
 3匹のこぶた達はそれぞれ家を建てることになりました。
(巽や都筑や密がブタ……、想像できないのは私だけ?BYねね)
「家なんて適当でいいや! わらぶき屋根〜♪」
 わらと同じくらい軽い脳みその都筑は、わらぶき屋根の簡単なお家を作りました。
 あっという間にできあがり。あとはのんびり昼寝をして過ごしている都筑でありました。
「さて、俺はどんな家を作ろうか……。都筑みたいな軽い頭のわらぶき屋根の家はあんまりだよな。
少し時間はかかるが木の家を建てよう!」
 密は工事現場にいる人が履いているようなダボダボのズボンをはき、白い半袖のシャツを着て、
頭には安全第一と書いてある黄色いヘルメットをかぶり、森へ木を切りに行きました。
釘を口にくわえ、トンカントンカン打ちつけ、カンナでシュッシュッと木を削り、
小さいけど頑丈な木のお家をつくりました。都筑のわらの家よりだいぶ時間はかかりましたが、
密は満足したようです。
「長男である私は、耐震性にも優れ、強風や雪にも強いレンガのお家を作りましょう」
 計算高い巽は、木のお家よりもっと丈夫なレンガのお家を作ることに決めました。
 スーツ姿に白いねじりはちまきを頭に巻いて、一段ずつ丁寧にレンガを積み重ねてゆきます。
ペタペタペタペタ。一生懸命、巽はレンガのお家をつくりました。
 何日もかかりましたが、巽のレンガのお家は完成しました。
「ふう、時間と手間はかかったけれど、私の頭のように重いレンガの家が完成したな。
わらのように軽い頭の都筑さんの家とは大違いだ!」
 巽は広く澄みわたる海のような青空に向かって笑いました。
「ひどいよ、巽ィ〜」
 青空には都筑のなみだ雲が浮かんでいます。

 そんなかわいいこぶたを陰で見ているのは……。オオカミ邑輝でした。
「ふふふ、おいしそうなこぶたちゃん。得に、都筑ブタは私のこ・の・み!
密ブタもいたぶり甲斐がありそう……。3匹のこぶた、もらった!」
 邑輝は、彼にとって一番のご馳走である都筑の家から責めることにしました。
「わらの家。まるで私に襲ってくださいと言うがごとくの家。ふふふ、都筑さんありがとう」
 邑輝はふぅ〜っとわらの家に向かって息を吹きかけました。
 バサバサバサ。簡単に作られてあるわらの家は一気に吹き飛ばされてしまいました。
「ひいいいいい、オオカミだぁ! 怖いよー。助けてー!」
 都筑は密の家に逃げ込みました。
「ふふん。今度は木のお家か……。こんなのたやすいもの」
 邑輝は同じく息をふう〜っと吹きかけました。
 さすがは密が苦労して作った木のお家。わらの家のように吹き飛ばされはしませんでした。
「む、少しは頑丈にできているようだな! じゃあこれはどうだ! かーめーはーめー波っ!」
 邑輝に両手からかめはめ波が出ました。(どうして邑輝がかめはめ波を……爆)
 ちゅどーん! 木のお家は吹き飛んでしまいました。
「うわああああ、巽さ〜ん」
「巽ィ〜」
 二人は叫びながら巽のレンガのお家にかけこみました。
「大丈夫です。二人も。この家は頑丈ですから……」
 巽は二人を慰めました。
「ほほう。今度はもっと頑丈なレンガですね。あの有能な秘書殿らしいな。
もう一回、かーめーはーめー波っ!」
 ズズン!
 レンガのお家は揺れましたが吹き飛ばされはしませんでした。
「くそっ! ダメか。仕方ない。スペシウム光線!(☆。☆)/ξξξξξξ」
 ビビビビビビ。
 苦心して作った巽のレンガの家も邑輝の瞳から出たスペシウム光線に崩されてしまいました。
「密君、都筑さん。亘理さんのバリヤの家に逃げるのです!」
 3兄弟は科学者ブタ亘理のバリヤの家に向かいました。
「ここなら大丈夫や。かめはめ波もスペシウム光線もびくともしないぞ!」
 亘理は3兄弟を安心させました。
 バリヤの家。目に見えないバリヤが家のまわりに渦まいているのだという。
外敵は誰も近づけさせない。
「ふふん。今度はどこに逃げたのかな? こんな家も私のスペシウム光線でひとっとび!」
 邑輝は瞳からスペシウム光線を発射しました。
 しかし、バリヤが効いているので、光線は跳ね返されてしまいます。
「くそっ、バリヤが張ってあるのか……。この家!」
 邑輝はくやしそうです。3兄弟と亘理は「やった!」と喜んでいます。
「ここで引き下がったら、闇末きっての名悪役、邑輝一貴の名がすたる。最後の手段だ。
中性子爆弾ー!!!!!」

 ―――ちゅっどーん!

 ものすごく大きな音が森に響き渡りました。
 バリヤは破れてしまいました。バリヤどころか、中性子爆弾の凄まじい威力のせいで、
森そのものが吹っ飛んでしまったのです。
 邑輝は非道に核兵器を使った者として、無期懲役の刑に処されてしまいました。
 その後、この森には『持たず、作らず、もちもませず』、核の3原則ができたそうです。
 やはり、平和が一番です。むやみに核兵器を使ってはなりません。




♪おわり