S子さん
【報告】
職場への結婚の報告は、籍を入れてからの予定なんですが、
一足早く、今一緒に働いているS子さん(仮名)には報告したんです。
S子さんは、ねねより20ほど年上なんですけれど、ギャグのセンスが
同じでとっても気が合うんです。いつも半分ふざけた状態なので、
普通に報告しても信じてもらえないと思い、ちゃんと証拠(指輪)を持っていったんです。
「S子さ〜ん、見てみて〜」
仕事が終わる10分前、指輪をはめてS子さんの前に両手を差し出しました。
「何を」
「ほら、これです。これ」
ねね指輪を必死に指差す。
「なにそれ」
「指輪」
「それがどうしたのよ?」
S子さん、まったく興味なさそう。
「今すぐじゃないけど、私結婚するんです」
「フンッ!」
「フンッ! じゃなくて、ほんとに11月くらいに籍入れる予定なんですってば!」
「はぁ〜?」
「だからほら、指輪指輪!」
一生懸命指輪をさす。
「ほんとなの?」
「ほんとです」
「ウソつくとぶつわよ」
「ウソじゃないですってば〜。私ウソつかいないです」
S子さん、眉間にしわを寄せる。
「ウソはつかなくても、おちゃらけるでしょ!」
「ええ、まあ」
ねねの日ごろの行いが悪いせいか? ぜんぜん信じてくれない。
「またおちゃらけてるんじゃないの〜?」
「ホントにホントなんです。おちゃらけてもないんですってばー」
「そうなの? 本当なの?」
「だから本当にっ! ほらこの指輪も左手には入るけど、右手には入らないし!」
指輪をはずして右にはめてみる。
「フフン( ̄ー ̄;)、自分で買ったんでしょ!」
「買ってないですってばー!」
「どれ、見せて」
S子さん、ねねから指輪をとりジロジロと眺める。
「プラチナだわ……。あら? ねねさんの左指にもぴったりだけど、
私の指にも入るわよ。ほら!」
S子さん、なんとねねの指輪を自分の薬指にはめてうれしそうにする。
「あ、ほんとだ」
「これ、いいわね。ちょーだい!」
「だめですってば! ほらほら、返して!」
S子さんから指輪を奪う。
「で、その結婚とやらは本当なの?」
「はい、本当です」
「ふ〜ん、どうやら本当のようね」
「はい……」
「明日になったら、『昨日のは嘘ぴょーん♪』とか言わないでしょうね!」
「言いませんってば!」
「……(数秒の沈黙)ふ〜ん、トイレ行ってくる」
S子さんマイペース。
「あ、私も……」
仲良く二人でトイレに行って(注:別々の個室に入りました)、
お互い個室から出ると、S子さんが思い出したかのようにねねを見ます。
「そうだ。おめでとう言うの忘れてた。おめでとう!」
「ああ、いえ、ありがとうございます」
「あまりにも唐突でびっくりしておめでとうっていうの忘れてたわ。あはははは〜。
だって、絶対ずっと独身かと思ってたんだもの!」
あ、そうですか。はい(^▽^)
次の日、
『昨日のはウソじゃないでしょうね!』
と、まだ疑ってた(笑)。そうとうねねの日ごろの行いは悪いらしい(笑)。
***
【結婚祝い】
二ヵ月後。
「そうだ、ねねさん結婚祝い何がいい?」
報告後、しばらくは信じてもらえなかったんだけど、2ヶ月言い続けると
さすがに婿の存在を信じてもらえたようです。
「え、結婚祝いですか? うーんと、うーんと何がいいんだろう?」
ねね数秒考える。
「あっ!
油田がいいですヾ(^▽^)ノ 」
「……アンタさあ、
私があなたに油田をプレゼントできるようなセレブだったら、
こんなところで上司の悪口言いながら働いてると思う?(`Д´)」
「そーですよね(^▽^)」(のーてんきねね)
「もっと現実味のあるものにしてくれない?」
「はい、わかりました。じゃあ〜、今一番ほしいものは……」
「何? 欲しいのは?」
「ベランダです!(^-^)」
「……」
「新居はベランダがないから困ってるんですよ〜」
「あのさぁ〜、さっき私。
現実味のあるものって言ったわよね!(#`д´)」
S子さん怖い。
「やっぱり無理かぁ〜、何にしようかな〜」
何にするかはまだ言ってません。
果たして、S子さんはねねに油田かベランダをくれるだろうか?
次回へ続く?(笑)