***9号続き***


 ラムセスを助けに行くと決心したユーリ。イル=バーニはテーベの近くに動乱を起こし、
ラムセスを必要とせざるを得ない状況を作れば良いと提案した。
 ナイルを下った、エレファンティナでは食料を求める平民達が、小さな暴動を起こしていた。
エレファンティナのリーダーとも言えるタハルカの危機を救ったユーリ。ユーリはこのタハルカを使って…。
「よし! タハルカ! ラムセスになって!」
「は……?」
「偽ラムセスになって、国に暴動を起こすのよ! 私は影の指導者になるから!
そうすれば、ネフェルティティも黙っていないだろうし、偽者は出たと知ったら、ラムセスは
脱獄してでも、ネフェルティティの屋敷から出てくるわ!」
「それは、いい考えですわね、ユーリ様」
 とハディ。
「偽イシュタルならぬ、偽ラムセスですわね。いつもユーリ様の真似ばっかりしているナキア皇太后の
悪巧みもたまには、利用してやらなくっちゃ!」
 とリュイ。
「そうよ! そうよ!」
 怒り気味にいうシャラ。
「うーんと…まず、ラムセスになるには…」
「用意は出来ておりますわ! ユーリ様!」
 3姉妹は何処から持ってきたか分からない薔薇の花をかごにいっぱい持ってきた。
「これは背中に背負う用薔薇です。こちらは、頭に載せるシロツメクサならぬ、薔薇でつくったかんむり。
こっちは、薔薇パンツですわ! その他にも、香水にアロマテラピー、熱い砂漠で水分補給のため、
薔薇の天然水も用意してありますわ!」
「さすがね、3姉妹。準備が上出来だわ! さあ、タハルカ! あなたは今からラムセスよ。
ラムセスになって、国に逆らうのよ! 今の生活はひど過ぎるって!」
 ユーリはタハルカの目を見て真剣に言った。
「そ、そんな…ユーリ様…。私のようなものが天下のラムセス将軍を騙るなんて…。第一、バレてしまいますよ!」
 タハルカは心配そうな目をしてユーリに訴えかける。
「大丈夫。これだけ薔薇を身につけていれば誰だってラムセスだと思うわ! 薔薇は彼のトレードマークなんだから!」
「そうそう、ユーリ様のおっしゃるとうり! 後ろにはユーリ様がついているのですから、心配なく…」
「さあ、薔薇衣装に着替えて!」
 タハルカは、3姉妹に任せるがまま、薔薇使用に着替えさせられてしまった。
 全身薔薇ずくめのタハルカ。これなら何処から見てもラムセスである。(ほんとか?)

 偽ラムセスとして、エレファンティナをはじめ、テーベの町に暴動を起こすタハルカとそれに続く民たち。
ネフェルティティやホレムヘブの耳にも、すぐに指導者が誰であるか耳に入った。
「なんだ、ラムセスの野郎、うまく王太后の宮を抜け出して、元気に逆らっているじゃないか!
心配して損したな!」
 一応はラムセスのことを心配していたホレムヘブ。薔薇男と聞いて、ラムセスであると全く疑わなかった。
 一方、王太后であるネフェルティティは……。
「なんだと! ラムセスが暴動を起こしている!?」
 驚くネフェルティティ。ラムセスは自分の宮に監禁されているはず……。なのに何故…。
ネフェルティティはラムセスが監禁されている部屋に使いをやって確認させた。
もちろんラムセスはいる。おかしい、あれは偽者か! と首をかしげるネフェルティティ。
 じきにラムセスの耳にも、自分の名を騙る偽者がいると入った。
「俺のトレードマーク、薔薇をモチーフに行動するなど許せん! 薔薇が一番似合うのはこの俺様だー!」
 ラムセスは火事場の薔薇力(笑)を出し、繋がれていた鎖を引き千切った。
 なにはともあれ、ネフェルティティの宮から脱出成功! これからラムセスと偽ラムセスの戦いは始まる。(笑)

♪おわり