***15号続き***


 エジプトーヒッタイト両国の皇太后がお互いの国の情報を売っていた。
書簡には、はっきりと両太后の印章が……。これでネフェルティティも
ナキアも失脚させることが出来るんだ!
 ナキア皇太后には、散々、煮え湯を飲まされてきた。ティトやザナンザ皇子、ウルスラも
手をかけたのは、ナキア皇太后だ! 他にも皇太后のせいで苦しんでいる者は沢山いる。
今まで、確かな物的証拠がなかったので失脚に及ぶことはなかった。
 ―――そのナキア皇太后を今度こそ失脚させることが出来る!
 ユーリは書簡を持つ手が震えた。今までの苦労と涙は無駄にはならないかもしれない! 
この書簡で全て解決するかもしれない!
 ユーリはカイルを想い、そっと書簡を握り締めた。

「さあ、ぼやぼやしていられません。早くエジプトを脱出しましょう!
証拠の書簡と一緒に……」
「ちょっと待って、イル=バーニ! 反乱軍の長、タハルカにちょっと挨拶してから……」
 ラムセスを助けるからとはいえ、自分の起こした反乱軍だ。少々責任を感じているらしい。
挨拶をするあたり、ユーリらしいと言えばユーリらしいだろう。
「そんなことはしていられません! 早く王太后の宮から出ますよ! カイル様には
首に縄をつけてでも連れもどして来いと言われているんですから!」
「えっ……、でも…」
「ダメです!」
 そうイル=バーニは言うと、本当にユーリに縄をつけた。黒ガラスのチョーカーを
ネフェルティティに返したので、ちょうどよく、首に縄を通すように引っ掛けるところが
あったのである。
「やだー! 本当に縄つけないでよー! 引っ張るなー!」
 本当に縄をつけられて引きづられるユーリ。カイルに必ずユーリを連れて帰ると約束した手前、
何が何でもヒッタイトまで連れて帰らなくてはならなかった。
「ねえ、それよりも折角の証拠の書簡。ちゃんと隠しながら持って帰らないと危ないわ!
どうやって隠し持って行く?」
 ハディが心配そうに言った。
「ねえ! こんなのはどうかしら?」
 首に縄をつけられたユーリが提案した。
「あのね。書簡を私の胸に入れるの! ヒッタイト皇帝の寵姫である私の胸に触る奴なんて
絶対にいないだろうし、胸も大きくなるし……! いい考えでしょ!」
「そうですわね! 一石二鳥ですわね!」
「書簡が胸パットの役目をしますのね!」
 リュイとシャラは同意した。
「うーん、ヒッタイト皇帝の寵姫じゃなくても、ユーリ様の胸に触ろうとする奴なんて
いないと思いますが……。おっとこれはこっちの話です。書簡が隠せればどうでもいいです。
さあ! 帰路を急ぎましょう!」
 イルを先頭に、エジプト―ヒッタイト小旅行は始まった。
 まるでその一行は西遊記のよう…。イル=バーニが三蔵法師、ユーリが孫悟空、ハディが沙悟浄、
リュイとシャラが猪八戒分身の術。故郷ヒッタイト、ハットッサに帰るため、
長旅が始まろうとしていた。
 途中に書簡を狙う、牛魔王ウルヒがいることを知りもせずに……。

♪おわり


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やーあっと新しい天河が見れましたねー。今回の休載は長く感じられたのは私だけ?
さあ、本当に証拠の書簡を持って、カイルの元まで帰れるのかしら?
壁に耳あり、障子に目あり、神殿にウルヒあり! のウルヒがどっかで盗み見してそうじゃ!
まあ、頑張ってくれ! ユーリ!


おまけ

はあ〜い! 私は女ラムセス〜
(意味はない)