***1号続き***


 ふ抜けたカイルではなく、またネフェルティティのスパイの手を借りることもなく、
自分自身の力でカイルに勝ちたいと思ったラムセス。
ルサファがエジプトから逃げ出すのを目の前で見送ってしまった。
「やったぜ! ムルシリのベストコンデションで戦いたいと言うのも、嘘ではないが、
これで邪魔者がいなくなった。ユーリは俺のものだ!」
 ラムセスはスキップをしながら、ユーリの部屋へ向かった。
「兄さま。ユーリ様と一緒に来たルサファとかいう男の姿がみえませんけど、
どこにいったのかしら?」
 ラムセスの妹であるネフェルトがスキップをしているラムセスの足を止めた。
「ああ、ルサファなら、ナイルを下って逃げてしまったんだ」
「なんですって! 逃げた!? 兄さま、大変じゃない!」
「別にそんなに大変じゃない。俺が欲しかったのはユーリだからな」
「大変だわ。早くユーリ様用に胸だし服を大量に注文しなくっちゃ! 今まであの
ルサファとかいう男が邪魔して、ユーリ様に流行の胸だし服を着せられなかったのよ!」
 ネフェルトの大変とは、ルサファがエジプトから逃げ出し、軍事機密がどうこう…と
いうわけではなかったようだ。
「なんだと! ネフェルト! ユーリにはこれから俺が薔薇ドレスを着せようと考えていたんだ。
勝手なことしてもらっちゃ困る!」
「薔薇ドレスですって!? また兄さまお得意の薔薇ね。どうしてそんなに薔薇にこだわるんですの?」
「薔薇は俺のトレードマークだからな。俺の女には薔薇を身につけてもらいたいんだ」
「いいえ、ユーリ様には薔薇ドレスなんかよりも、胸だし服のほうが絶対に似合いますわ。
ユーリ様って小ぶりだけどとってもいいカタチしてらっしゃるんですもの」
 ネフェルトも負けずに言った。
「じゃあ、こんなのはどうだ?胸だし薔薇服だ。そのほうが俺にとっても一石二鳥だし…」
「それいい! 胸だし薔薇服! とりあえず一着は胸だし薔薇服で発注しておくわね」
 ネフェルトの気も収まったようだ。

 この会話を偶然聞いてしまったユーリ。
(私は着せ替え人形じゃないわ!)
 と二人に向かって叫びたかったが、ルサファのいない今では、息投合している二人には
かなわないと思い、とりあえず今後、どうやって胸だし薔薇服から逃げるか、考えることにした。

 一方、カイルの元にスパイがいることを、そして何より、ユーリがラムセスに
捕われの身であることを伝えるため、ナイルを下ったルサファ。
「俺って、結構、エジプト軍人コスプレ似合うかも…」
 そう言いながら、用もないのに、また顔や体を黒く塗りたくっていた。

 果たして、カイルの運命はいかに? ルサファは無事にたどりつけるのか?

                               おわり


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  きゃああああああ、今回のラムちゃんカッコ良すぎるわ! もう惚れ直しちゃいそう!
                           BY ねね