***5号続き***


 ネッチーとナッキーが通じている。いくらタワナアンナといえど、敵国であるエジプトに
情報を売るなどやりすぎだと感じたカイル。
ナッキー追放のため、なにか動かぬ証拠がなくては…。
「ナキア皇太后がエジプトと通じている確かな証拠を見つけるのだ!
でなくては、皇太后失脚は望めない!」
「そのとおりでございます。陛下!」
 カイルの意見に、側近達は賛成のようだ。
「では、ナキア皇太后エジプト密通追跡捜査本部を、ここウガリットに置こう。
イル=バーニ、書記であるお前の達筆で『ナキア皇太后エジプト密通追跡捜査本部』という
垂れ幕(?)を作ってくれ!」
「分かりました。陛下」
 イル=バーニは硯と筆をふところから出して、パピルスに書初めをはじめた。
「よし! 次はと…、証拠をつかむにはどうしたらよいだろう? とりあえず、ナキア皇太后の
身辺に盗聴器でも仕掛けるか…」
「では、こんなのはどうでしょう。ナキア皇太后の好きな植物、ハエジゴクに盗聴器を
仕掛け、エジプトからの献上物として送るというのは…」
「おお、それは名案だ、キックリ。早速取りかかってくれ」
「分かりました、陛下。リュイ、手伝ってくれ!」
 キックリとリュイはラブラブで、ハエジゴクと盗聴器の用意をしに行ってしまった。
「陛下、証拠といえば証拠写真。ナキアとウルヒがラブホテルから出てくる瞬間をパシャリ…
じゃなかった。エジプトと通じているという証拠写真を撮るのです」
「おお、それもやってくれ、ルサファ。証拠写真といえばとりあえずポラロイドカメラだよな…」
「いえ、陛下! 今の時代はデジカメです。撮った証拠写真は、すぐにメールで送りますから。
メアドはyu-ri-love@hittaito.○×.△×でいいんですよね」
「な、なんでそのメアドを…! そのメアドは私とユーリの秘密のメアドだ!
お前が知っているなど許さん! ネチケット違反だぞ!」
 カイルは、皇太后のことなどそっちのけで、ルサファに怒り出した。
「まあまあ、陛下。メアドなどまた作ればいいではないですか。
それよりもこのゾラが通じていたこのナキア皇太后への書簡。この書簡から指紋を
検出するというのはどうでしょう。人間の指には汗を始め蛋白質がいっぱいあります。
もちろん指紋にも蛋白質は残っています。その残っている蛋白質をルミノール反応と
言う反応を使って指紋を検出するのです」
 以外にも科学捜査に詳しいミッタンナムワが言った。
「それもいいな。ついに遅れていた古代ヒッタイトにも文明の進歩が…、
喜ばしいことだ、うんうん」 
 既に意味不明なことを口走っているカイル。この科学捜査に乗り気のようだ。
「なんか西部警察みたいで面白いわね」
 リュイに先を越されてしまったシャラが言った。
「ということは、カイル陛下は、大門さん?」
 かくれ渡哲也ファンのハディが言った。
(私、年バレる…?BYねね)

 ……と、西部警察ごっこしているヒッタイト組は放っておこう。
とするとエジプト組みは…。
 いよいよラムセスとユーリの結婚式。まあ、いつのまにユーリってばストレートパーマかけたの?
と思ったら、なんだ…かつらだったのね。
 薔薇ムセス後援会会長としては、このまま無事に結婚式が終わることを祈るばかりです。
 ちょっと待って! 無事に結婚式が終わる? 本当はここで続きパロ終わらそうと
思ってたんだけど、いいこと(?)思いついちゃったー!

短編劇場
〜ラムセスとユーリの結婚式にて〜
 ラムセス家代々に伝わる花嫁衣裳を着たユーリ。その美しさに老若男女を問わず、
誰もが見とれていた。衣装や容姿に見とれているのではない。ユーリそのものから発する
王妃としての素質が、見るものすべてを魅了しているのだ。
「汝、ラムセス、あなたはこの女を一生涯愛することを誓いますか」
「はい、薔薇に誓って愛しつづけます」
 ラムセスは元気に神父に向かって答えた。
「では、ユーリ、あなたはこの男の妻となり、一生支えあって行くことを誓いますか?」
「……」
 いくら形式といえど、はっきりと声に出して言いたくないユーリ。思わず沈黙してしまった。
 そんなユーリをラムセスは小突いている。
 そんなとき、突然ドアがバンッ開いた。
「ちょっとまったー!」
 おっと、後ろからちょっと待ったコール!
「その女は私の女だー! ユーリを返せー!」
 後ろにはカイルが立っていた。ラムセスとユーリの結婚を嗅ぎ付けて、
ヒッタイトから飛んできたのである。
「あ〜れ〜」
 カイルはラムセスからユーリを奪い、結婚式場から連れ去ってしまった。
「大変だー花嫁は連れ去られたぞ! どういうことだー!」
 会場内は大パニック。
 そんなパニックの中、ラムママはこうつぶやいた。
「あのウセルがこんなトントン拍子に結婚なんて…、上手すぎると思ったわ…」
 ラムママはオイオイまた泣いていた。

♪終わり