***9号続き***



 
『ジュダは先々帝シュピルリウマの子ではなくウルヒの子かもしれない……』
 ナキア皇太后にとって絶対的に不利な噂が、ヒッタイト王宮を駆け巡っていた。

「そうか……、やっぱりナキア皇太后をウルヒはおいしい関係だったのね。
ジュダが自分の子だからこそ、ウルヒはどんなことがあってもナキ皇太后に
忠誠を誓っていたんだ」
 ウルヒのナキアに対する忠誠心の心髄はそこにあったのかもしれない。
ウルヒとナキアの間に主従関係以上のものがあり、かつ自分の分身が
皇帝の椅子を手に入れるチャンスが目の前にかかげられているのだ。
ナキアとウルヒの理想は同一のものであり、それを現実にするためには
方法を選ばなかっただけのことだったのである。
 ユーリは今までのウルヒの行動がやっと理解できたような気がした。
「ウルヒも金髪。ジュダ殿下も金髪。噂は信憑性は高いわよね」
 とシャラ。
「そういえば、シュピルリウマさまとジュダ殿下って似てないわよね」
 ハディは空に顔を向けて先々帝の顔を思い浮かべる。
「ジュダ殿下は顔がいいものー。なんといっても『弟にしたいキャラNO.1』
ですものね(彼氏にするなら?参照)。シュピルリウマさまのような
髭オヤジとは似ても似つかないわ」
 とリュイ。
「ウルヒも美形。ジュダ殿下も美形。遺伝学的に考えても二人は親子の
可能性が高いわね」
 現在妊娠中のシャラが言った。
「確かにシュピルリウマ王とジュダは似てないねぇ〜」
 ユーリも3姉妹の会話に納得する。
 現代のように血液型判定やDNA判定など紀元前の世界にあるわけがない。
現代だったら、こんなことはすぐに答えが出るのだが、この時代では
そうもいかない。誰が誰の子であるか? 証拠はないに等しいのである。
 するとユーリや3姉妹の頭上から神々しい光が降り注いだ。
真夏の太陽よりもずっとまぶしい白く強い光である。
「お主ら……さっきから聞いておれば言いたい放題だな」
 光の方向から声がした。目を細めて声の方を向くと、年老いた老人が
雲の上に乗っていた。背中には後光がさしている。
「シュピルリウマ王!」
 ユーリは音程の外れた声を上げた。
 後光の主はかつてのヒッタイトの賢帝シュピルリウマ王であった。
頭上には天使の輪がくるくると回転しており、生前の頃と変わらぬ姿で
ユーリ立ちの前に現れたのである。
「ジュダが私に似てないと? どこに目をつけておるのじゃ! そっくりではないか!」
 シュピルリウマの声は怒りに満ちていた。
「…………」
 四人は沈黙。
「その沈黙はなんなのじゃ! よく考えて見ろ、カイルは私の子じゃぞ!
それは確かだ。もし、カイルまでもが私の息子でなかったら、
ヒッタイトの皇統は途絶えてしまい、話が続かなくなるからな!
カイルは私の若い頃に生き写しじゃ! 美男子……だったのじゃぞ! うふっ」
 最後のうふっの意味はよくわからないが、どうやらシュピルリウマは
自分がカッコ良かったことを証明したいらしい。
「えー、カイルさまは母君に似ておられるのよ」
 ハディは容赦なく否定する。
「じゃ、じゃあザナンザはどうなんだ! カイルとザナンザの兄弟は
顔立ちがそっくりであろう。あれは2人とも私に似たのじゃ!」
「それは隔世遺伝なんじゃない? シュピルリウマ王のお父さん、
つまりカイルさまのおじいさんが美男子だったのよ」
 双子のうちの妊娠している片割れがいった。
「うぎいいいいいい。私はもてるのじゃ! それを証明するように
生前、私には側室がたくさんいたぞ!」
「それは元皇帝陛下ですもの! あたりまえじゃない!
権力と身分とお金があったからですわ。女はお金には弱いものなのよ」
 双子のうちのスリムな片割れが言った。
 ことごとく否定されたシュピルリウマはガクンと肩を落としうなだれてしまった。
さっきまでは強い光を放っていた後光も消えかかっていた。
かなり落ちこんでしまったようである。
「そうか、カイルはお母さん似で、カイルとザナンザ皇子が似ているのは
隔世遺伝で、やっぱりジュダ皇子はウルヒの子なんだ!」
 ユーリはポンと手を鳴らし納得した。
蛙の子は蛙であり、めだかの子はめだかなのだ。
めだかの兄弟が大きくなってもクジラはならないのだ。
(↑めだかの○○より、わかる人います?笑)
「ふんふん、どうせ私なんて……」
 ウンコ座りして、地面に「の」の字を書いていじけている
元勇将シュッピルリウマの姿がありましたとさ。


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やぁ〜っとここまで来ましたね。ジュダはウルヒの子。
かなり前にそれを匂わすコマがありましたものねぇ。
どうでもいいけど、ウルヒさん。肩と太ももが肌けてとってもセクシーよ♪