***5号続き***



 カイルとラムセスの肉弾戦。ラムセスの一撃でカイルは倒れるが、そこへ戦闘の波が……。
カイルはヒッタイトの長であるという理性を取り戻し、裸体に一枚のマントを巻いて
肉弾戦に終止符を打った。できればこのマントになりたいと思うねねである。
 ラムセスはイシュタルという女神を我が物にはできなかった。だが、代わりにこの勝負での
勝利の女神を手に入れたとなれば、ラムセスの満腹中枢も満たされたであろう。
カイルに一撃を決め、ひれ伏させることはできたが、胸を張って勝ち誇れる
気分ではなかった。本当の勝利ではないと、カイルより優れていると
思うには到底及ばなかったのだ。
 一方、ユーリは、自分が指示したとおり兵を動かすことに成功し、カラオケ好き…じゃなかった。
エジプトのたてまえ上、最高権力者であるホレムヘブを捕らえることに成功した。
兵たちもユーリをタワナアンナへの立后を熱望しているよであった。ジャイアンホレムヘブを捕らえ、
ほっと一息つくユーリと側近達。しかし、戦場に100%安心できる場所など存在しえない。
ユーリの背後を、あのタハルカが矢で狙っていたのだ。ルサファはユーリを狙う矢に気づき、
未来のタワナアンナを守るためにユーリに飛びついた!

 ――5号はここで終わり。この矢が、ユーリをかばったルサファに刺さったかどうか
わかりませんが、パロディの都合上、グサリとルサファの胸に矢がささり、
致命傷になったことにしてください。(おことわり)

「ルサファ!」
 ナイスコントロール! タハルカ。弓矢の腕前はエジプト軍でも有能な部類に入るであろう。
ルサファが守らなかったら、ユーリが致命傷を追っていたところだ。
なんて、タハルカの弓の腕前を誉めている場合ではない。ルサファが致命傷を
追ってしまったのだ!
「ルサファ! 私をかばって……」
 身代わりになったルサファに、黒い瞳には涙が浮かんでいた。
「ユーリさ…ま……、ご無事で……」
 口から血を流しながらユーリの腕の中で呟くルサファ。
「コミックスの何巻だか忘れたけど、いつか私のために死のうって……
言ってたよね。あの言葉本当だったのね。私ってばヒ・ロ・イ・ン♪」
 自分はもてるのだと遠まわしに言いながら、ユーリは悲劇のヒロインぶりっ子していた。
「ルサファ! ルサファ!」
 ハディやイル=バーニ達のルサファを心配する声がこだましていた。
 その中でジリジリと地団駄踏む人物が約一名……。それは?
「もう我慢できない! ルサファー!」
 側近達がルサファの最期を、涙を流しつつ見守っている中、ひときわ大きな声を
たててルサファに突進してきた人物がいた。カッシュである。
「ユーリ様、どいてください」
 ユーリはドスンとオロンテスの大地に尻餅をついた。
 カッシュはユーリを突き飛ばし、代わりにルサファを自分の腕の中に抱いた。
「ううっ、ルサファ! 死ぬな! 死ぬなぁ〜!」
 カッシュの瞳からは、涙が次々とこぼれ落ち、頬にゆるやかな涙の弧を描いていた。
「カ、カッシュ……」
 虚ろな目で黒髪のシャギーの美男子は短髪のカッシュを見つめる。
「ルサファ! ずっと認めたくなかったけど、俺はお前のことが好きだ!
貴族は名ばかりの貧乏生活から立ちあがり、戦闘部隊の隊長として
ここまで一緒にやってこられたのは、ルサファ! お前が
いたからだ。つらいときも、苦しいときも、一緒に頑張ってこられた。
一緒に笑いを共有し、一緒に涙を分かち合い……、最愛の友が本当に
最愛になってしまった。自分が○モだなんて認めたくなかったけど、
やっぱり俺はお前がいないとダメなんだぁ!」
 わあああああ、と大声を上げてルサファの胸に自分の顔を押し付け泣きじゃくる。
そんなカッシュの頭に最期の力を振り絞って、ルサファは手を添える。
「カ、カッシュ……。ありがとう。実は…俺も今まで言えなかったけど
お前のことを親友の枠を越えて愛していた」
 なんと2人は両思い! ギャラリーは大驚き!
「ちょ、ちょっと待ってよ! ルサファって私のことが好きなんじゃないの!?」
 ルサファは自分にぞっこんだと思いこんでいたユーリが問いただす。
「は…い、ユーリ様。愛しています。けれどそれは女性のなかで一番ということです。
男女問わず一番と言ったら、それは竹馬の友であるカッシュなのです。
お許しを……」
 ルサファは悲痛な笑みを浮かべる。
「た、確かに嘘じゃないわね……」
 ユーリも思わず納得してしまう。
「ああ、なんて素晴らしい同性愛!」
 ハディは両手を祈り捧げるマリア様の様に組んで、カッシュとルサファの両者を
見つめる。
「これこそ性別を越えた真実の愛なのねっ!」
 リュイも瞳を輝かせながら暖かく見守っていた。
「2人でくっついて……同じ隊長である俺の立場は……」
 歩兵隊長であるミッタンナムワは、ラブラブモードな2人に嫉妬しているようである。
ミッタンナムワに春はいつ訪れるのか?(笑)
「ふむふむ。ルサファの最期はカッシュへの愛の告白と……」
 書記であるイルは、しっかりと戦場で起こった悲劇を粘土版に刻んでいる。
「な、なんだ? 私とラムセスが肉弾戦をしているあいだに、カッシュとルサファも
そういう間になっていたのか! 天河も捨てたもんじゃないな!」
 布きれ一枚皇帝陛下は「わはは」と天に向かって高らかに笑う。
「あのぉ〜、私が矢を放ったのですが、もしかしたら私はハートの矢を放つ
愛のキューピッドになってしまったのでしょうか……」
 まったく無視されていたタハルカが申し訳なさそうに言った。
タハルカの放った矢の先には、どうやらハートマークがついていたようである。
 でかしたぞ! タハルカ!

♪おわり

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ごめんなさいねー。ルサファファンの皆様。でも許して、パロだから。
それにしても、ルサファはやっぱりユーリをかばって天に昇ってしまうのかしらー?
それはちょっとショックですー。悲しいですー。続きパロが書きにくいので
どうかやめてください、篠原先生!(切実な願いだったりする・爆)
肉弾戦も終わっちゃいましたね−。私としてはもうちょっと見たかったのになぁ。
鎧を着ることができないラムセス、ちょっと可愛かったりする♪