***23号続き***



 近衛長官としてカイルの左翼を自分から守ると名乗り出たユーリ。カイルを守り切ることが
正妃の道へ必然である。相手はエジプト、ラムセス。勇将同士の接戦のため両軍は陣形を死守し、
どちらも均衡を崩さない……と思いきや、敵右翼がユーリの軍を集中攻撃をかけたのである。
 なんと敵右翼の隊長はタハルカ。ユーリを逆恨みし、殺そうと刃を向けてるのであった。

「この女、よくも利用したな。殺してやる!」
 剣に暑い太陽が反射して鋭い光りを放っている。
「ちょ、ちょっと待って。違うの」
 今はタハルカの恨みなんか買っている場合ではない。油断を許さない対エジプト戦。
ユーリにとっても正妃の座を賭けた重要な戦いである。
「ふふふ。ここで殺すのはもったない。俺の故郷エレファンティンまでひとっとびだー!」
「は?」
 タハルカはユーリを抱き上げた。
 次の瞬間、なんと! タハルカは宙に浮いたのである!
 タハルカの回りだけ重力がなくなったかのようにすっと宙に浮き、
ユーリを抱き上げたまま荒々しい決戦の場からナイルの向こうに消えて行ってしまった。
「ユ〜リィ〜」
 遥か遠くから色男2人の寂しそうに叫ぶ声が聞こえた。
「きゃああああ! タハルカ! 何で宙に浮いているのっ!」
 驚くのも無理はない。羽が生えているわけでもないのに空を飛んでいるのだから。
「ふふふ、俺には超能力があるのさ。宙に浮く他にも物体を通り抜けられるんだぜ!」
 バカにしたような笑みをユーリに投げかける。
「物体を通りぬける! どっかで聞いたような話なんだけれども……」
「フフフ。仕方ない俺の本当の正体を教えてやろう。俺の本当の名前は「他派=流風」。
篠原先生の前々作「海の闇、月の影」のヒロイン小早川流風の前世なんだ!
ほらっ! 名前が同じだろう。流風はハイキングに行った墳墓でウイルスに
感染するわけだが、このエジプトには元祖ウイルスがあっちのピラミッドにも
こっちのピラミッドにもたっぷりある。自ら感染して宙に浮けるようになったのさっ!」
 陽気に喋るタハルカ。海の闇、月の影の流風とは想像もつかない容貌である。
前世なのだからなんでもありかもしれないが……。
「天河の先輩作、海の闇、月の影の主人公?! 本当に?」
 ユーリは驚異のまなざしでタハルカの瞳をみつめる。
「そうよ。 さあ、流水に見つからないうちにピラミッドで待っている克之のところに
戻らなくっちゃ♪」
 すっかり女言葉になっているタハルカ。彼は本当に「流風」なのか?
「流風ちゃんってよんでね♪」
 星マーク☆とウインクをユーリに投げつけた。
次号、ユーリの運命はいかに!(爆)

♪おわり

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 あるわけないじゃん、こんな話……。自分で書いていて思いました。
海闇を読んでらっしゃる方多いですよね。タハルカのなかに流風をいう
名前が入っているなぁと前から思っていたのですが、今回の続きパロで
ネタにさせて頂きました。
(タハルカって名前はヌビア人の王の名前らしいですけれどね)
 ユーリは敵軍なのに心配してしまうラムちゃんが彼らしいわ! 
あのワイルドさの中にやさしさがちょっと見え隠れするのがいいんですよねー。
薔薇もってユーリを助けてね。ラムちゃん♪