***21号続き***


『命にかえても書簡を壊せ』
 ウルヒの命令どうり、女官アダは再びイルの部屋に忍びこんだ。
 王宮の警備は厳しい。持ち出すのは到底不可能である。アダはアッカド語で書かれた書簡を
じっと見つめた。
『壊しなさい!』
 ウルヒの言葉がアダの頭の中をリフレインしている。
 どうして壊さなくちゃいけないのか分からない。この書簡がどんな重要な書簡なのかも分からない。
だが、ウルヒの言葉に従わずにはいられなかった。
 この当時の書簡なんてもろいもの。粘土でできているため強い衝撃を与えれば粉々になってしまう。
 アダは床に向かって思いっきり書簡を投げつけた。
 ―――バリン!
 現代で言えばお茶碗が割れたような音がイルの部屋に響き渡った。
 床に打ちつけられた振動でナキアの書簡は粉々だ。
 アダはニヤリと笑った。ウルヒの言葉どうり実行することができたからだ。
 だが次の瞬間、アダの表情が急変した。
 ―――なんと、粉々になった書簡の破片が風もないのに動き出したのだ!
 いくつもの破片はモソモソ動き出し、パズルのように割れ目を補いながらもとの書簡の形に
戻ってしまったのだ。
 アダは焦って、もう一度書簡を床に叩き付けた。
 また割れた。
 だが、同じように、砕けた書簡がまるで生き物のように動き出し、もとあった形に戻るのだ。
「どうして……」
 アダは呆気に取られた。
 実を言うとこの書簡、ナキアがエジプトのネフェルティティの手に渡るまで、壊されたり欠けたりしないように、
魔術をかけてあったのだ。衝撃や妨害によって壊れることがあっても元に戻るようにと……。
ヒッタイトからエジプトまでの長旅。何があるかわからない。書簡がちゃんとネフェルティティのもとに
渡るように、ナキアとしては万全な対策を練ったつもりだったが……、ユーリやカイルの手に書簡が
渡ってしまった今、この対策は裏目にでてしまったようだ。
 この場合、ナキアにとっては自業自得と言ってもいいであろう。

♪おわり

 ……としたいところだが、なになに? せっかく久しぶりに本誌に登場したんだから
私達も続きパロに出てみたい? しょうがないなぁ……。では、この御三方に登場してもらいましょう。
元ミタンニの黒太子さんに、アルザワ帝国アレキサンドラ王女、ハレブ知事ロイス=テリピヌさんです。

<黒太子>
 久しぶりだな覚えているか? 元ミタンニ帝国王太子マッティワザこと黒太子だ。
私のこの素晴らしき黒髪はこの世に二人といないであろう? 髪のことならウルヒやイルとも
競える自身があるぞ! まあ、こんなことはどうでもいいとして、まさか再び私が登場するとは
思ってもみなかっただろう。はっはっは! 意表をついたかな? せっかく本編にも登場したのだし、
この続きパロにも顔を出しておかねばと思ってな、こうして登場したわけだ。
なにせ、私が本誌で活躍していたころは、続きパロどころかねね's わーるども赤い河倶楽部も
なかったからな! インターネットの普及率もかなり低かったから仕方ないが……。
ねねもその頃はまともなファンをやっていた。こんなパロなど書いていなかった。
真面目な学生だった。ひとり寂しく天河を読んでいたなぁ。懐かしいなぁ。
月日が経つのは早いな。そう考えれば俺は単なるオヤジか。目の下には皺もあるし、
確かに俺にはムルシリやラムセスのようなピチピチの若さはないが、パワーだけああるぜ! 
オヤジパワーでこの天河をまた盛り上げてやるぜ! ちなみに私のトレードマークは
黒いチューリップだぞ! よろしくな!
 ……と偉そうにしていますが、裏ではナキアの妹ナディアにすっかり尻に引かれている黒太子でありました。

<アレキサンドラ王女>
 こんにちは。私も少しお久しぶりかしら? アルザワ帝国第一王女アレキサンドラです。
おねーさまを追って、ウガリットまできちゃったのー。久々のおねーさま、嬉しいわ!
今夜おねーさまのお部屋に行ってもいいかしら?(爆)
 そうそう、わたくし、ハットゥサでお留守番している間、ずっとナキア皇太后のこと見張っていたのよ。
本編でも報告しているでしょ。少しでもおねーさまのお役に立ちたくって、おねーさまの代わりに
ナキア皇太后を探っていたのよ。えっ? 何? 王女様がそんなことするわけないって? 
探るどころ黒い水でも飲まされているんじゃないかって? ひどいわ、失礼しちゃう! 
一生懸命おねーさまのためにやったのに!黒い水なんて飲んでないわよ。ほらっ!
 そういいながら、自分のお腹をボカボカ殴って、黒い水を飲んでいないことを証明しようとしている
西の国のアホな王女がおりました。まったく、親の顔が見てみたいものです。おっと! 
アルザワの女王からのパンチが飛んできたー。バキッ!!( -_-)=○()゜O゜)

<テリピヌ殿下>
 私もお久しぶりです。ご生母の身分が低くて皇帝にはなることのできないシュッピルリウマ王の
第二皇子ロイス=テリピヌです。天河ではこれといって大きな活躍はしておりませんが、
皇帝陛下とユーリさまにとっては、私は重要なことをしたのです。その重要なこととは……、
ふふふ、お二人の初夜をこの私の王宮で迎えさせてあげたことですな! はっはっは!
あのときは参りましたよ、本当に。我が弟ながら、四日間も寝所にこもりきりなのですから!
ちょいと呆れましたが、我が国の皇帝陛下のなさることです。文句は言えませんでしたがね。
皇帝陛下のユーリ様へのご寵愛はヒッタイト中どころか、少コミ読者にも知れわたっていますから、
今更どうしようもありませんがね。文句もいいますまい。
 そういえば私は黒太子と同じく、続きパロには初登場。それどころか、ねねページ自体に初登場
かもしれん! 目立たぬキャラだがこれからもよろしくな!

 以上、久々に登場された3人の方からのインタビューでした!

♪おわり


イラスト天のナキアの書簡のページを見ると面白いかも。

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 黒太子よ黒太子。懐かしいー! 黒ちゃん(←かってに約す)が出てきた当時は学生だったわー。
少コミと同じくらい分厚い教科書持って、学校帰りに少コミを立ち読みした記憶があるわ!
あのときは、数年後こんなことしている自分がいるなんて想像もしなかったけど。
 しかし、天河って本当に歴史に忠実ですね。文献に「ミタンニを滅ぼしたシュッピルリウマ1世は
ミタンニ王太子マッティワザを副王として懐柔した」って読んだことあるもの。
またまた納得してしまいました。
 それより皆様見ました? 篠原先生の欄外の一言! 『バラを増やそうと思う』ですよ!
バラ……、このページのために増やしてくれるのね! 嬉しいわ! ヽ(^。^)ノ