***17号続き***



 「誰かしら? 誰かしら? お父さんは誰かしら?」
 無事ナイル河口にもたどりついたユーリ達。リュイの妊娠がわかって、帰りの船で
父親を知らないユーリの探索がはじまった。
 「ミッタンナムワでも、カッシュでも、ルサファでもないんでしょ。
うーん、あと誰がいるかしら…?」
 大事な側近をもう一人すっかり忘れている。エジプトの暑さで頭がおかしくなったか? ユーリ?!
 「ヒッタイトまでは長旅です。船が着くまで、ゆっくり考え下さいまし」
 シャラがやさしく笑いながら言った。その傍らで、リュイは顏を真っ赤にしていた。
 「えー! 教えてくれないのー! よーし、じゃあ絶対に当ててやる! イル=バーニでも
ないんでしょ。あとは…、新弓兵隊長のシュバス? それとも第二歩兵隊長のゾラ?」
 ぶんぶん首をふる双子。
 「じゃあ、王宮の庭師職人? カイルの宮付きの名コック?
同じくカイルの宮付きのクリーニング屋さん? カイルの宮のお掃除のカッコイイお兄さん?」
 またもや、ぶんぶんぶんと首をふる双子。
 「うーん…、他に誰がいるかななぁ〜? も、もしかしてウルヒ?」
 バッターンと同時に後ろに倒れる双子たち。
 「ユ、ユーリ様、ウルヒとできていたら、私達はスパイということになっちゃうじゃないですか!
それにナキア皇太后の愛人を寝取った覚えはありません!」
 必死に言うリュイ。まあ、必死になる気持ちもわかるが…。
 「冗談だよ。リュイ。もしかして王宮にはいないのかしら? 意標をついて、
カパタのクルクとか?」
 (クルク…誰だそれ…)
 双子は心の中でそう思った。
 「クルク…、うーん、『ク』だけはあっているかも…」
 あまりに正解の出ないユーリにシャラはヒントを与えた。
 「ホント? クがつく人なのね? うーん」
 ユーリはまた、首をかしげて考えはじめた。もう、ここまでくれば当たるだろうと、
そう思っていると…。
 「わかったわ! 『く』のつく人! 黒太子ねっ!」
 またもや双子、その場で卒倒。あやうくリュイは船のデッキから落ちそうになる。
 「すごーい! 黒太子だったら、ネフェルティティ王太合と親戚になっちゃうのね。
あっ! 黒太子の奥さんはナキア皇太后の妹だから、ナキア皇太后とも遠い親戚になるのね。すごいわ!」
 くりっとした目を大きく開いてユーリはリュイを尊敬のまなざしで見つめた。
 「ユーリ様! どーしてそこで黒太子が出てくるんですか! ミタンニが滅亡して以来、
本編には出てきてないじゃないですか! だいたいどうして、黒太子なんかの子供を
はらまなければいけないんですか!」
 頭の中に微塵もなかった者の名前を言われ、リュイもシャラもだんだん疲れてきた。
 「黒太子じゃないの……。うーん、他にくのつく人。くくくくく、クレオパトラ?
あっ! 女の人だわ! くくくくく、草g剛? あっ! 現代人だわ!」
 エジプトの暑さによってとうとう頭がおかしくなってしまったのか?
おとぼけユーリを乗せた船は順調に航路を進めていた。

♪おわり


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 イル様かっこよかったですね。武力ではかなわないけど、知力(言葉)でタハルカを
黙らせるなんて…、ラムセスの代わりに惚れてしまいそうだわ。(*^。^*)ポッ
イルとハディが無事にヒッタイトに戻って来ることを祈っております。
今回もカイルは1カットだけ…。カイルは相当グレていることでしょう!
 
 そして篠原先生の猫ちゃんお大事に。