***6号続き***


ルサファはユーリを狙う矢に気づき、未来のタワナアンナを守るためにユーリに飛びついた。
2001年少コミ6号発売日がルサファの命日にならなくてよかった。ルサファはこめかみを
切っただけで助かった。しかしユーリはルサファの頬を殴る。命を粗末にして欲しくなかったからだ。
 一方、カイルもラムセスとのラブラブ戦闘…じゃなかった、一対一の男の対決から戻り、
エジプトとの講和の提携を試みた。
 カイルは言う。ハットゥサに戻ったら荒れると――タワナアンナの交替だと。

 エジプトとの戦いが終わったカイル達は、首都ハットゥサへの帰路についた。
 首都を離れている間、ナキア皇太后は大人しくしていたであろうか?
ユーリは不安だった。イル=バーニが留守番してくれているから、何かあったら
知らせてくれると思うが……。
 赤い河を越え、ハットゥサ市内入ってしばらくすると、王宮に向かって長い行列ができていた。
 一体どうしたことであろう? なぜ行列が……。ユーリは行列の一人のおばさんに聞いてみた。
「すみません。これ、何の行列なんですか?」
「あらあら、お嬢さんこの行列を知らないのかい? これはね、新しく皇太后様が
作ったディズニーランドの行列だよ。アトラクションがいっぱいでそりゃ楽しいとか……。
ハットゥサディズニーランドは今や大テーマパークのひとつさ。これからミッキーとミニーに
会いにいくのさ!」
 おばさんは楽しげに言う。
「でずにーらんど!」
 ユーリは音程の狂った声をあげた。一体何だってそんなものをハットゥサに……。
王宮を遊園地に改築してしまったというのか?
「皇太后の人気取りのために仕組まれたものだな。まったく! ロクなことしやしない!」
 カイルは傷をいたわりながらプンプン怒っていた。
「イル=バーニ様が王宮に残って下さったのに何の連絡もありませんよねぇ」
 キックリが不思議そうに首をかしげた。
 イルからは、早馬の伝令も、書簡も何一つ送ってこなかった。
一体イルは何をやっていたのだろうか?
「とにかく王宮へ行こう。どんな状況かを見て、それから対処する」
 皇帝ご一行は長い行列のゴール地点を目指していった。

 こちらはヒッタイト王宮正門。正門にはチケット売り場が設けられており、
いつもの門番役の兵がチケットを売っている。
「あ、おかえりなさいませ。皇帝陛下、イシュタル様。お二方とご側近の方々は
フリーパスですので、どうぞ中へお入りください」
 門番の言われるがままに王宮内に入る。
 ――なんとそこは、石造の崇高な神殿をはじめ数々に建物はメルヘンチックな
パステルカラーのアトラクションに変わっており、軽やかな音楽が流れている。
子供からカップル、老人までパーク内を楽しそうに回っていた。
「おやおや、今お帰りになられたのですね。皇帝陛下」
 声のほうを振り向くと、白雪姫の格好をしたナキアが立っていた。
 ――に、似合わない。
 カイルをはじめ皆そう思ったがそんなことを行っている場合ではない。
「ナキア皇太后、一体どういうことです! 勝手に王宮を改築したりしてっ!」
 カイルは眉間にしわを寄せて怒る。皇帝の許可なしに改築したのだから当然である。
「まあまあ、そう怒るでない。こんなに楽しんでいるではないか。
見てみい、市民の嬉しそうな顔を・・・・・・」
 ナキアの言うとおり、確かに楽しそうな顔をしていた。仕事も勉強も育児も、
すべてのストレスを忘れて楽しんいる。それだけは認めざるを得ない。
「しかし、こんな勝手な……」
 カイルは顔をしかめる。
 すると数メートル離れたところから聞きなれた声がした。
「はーい、4列で並んでくださーい。ここから60分待ちです。
押さないで押さないで!」
 声の主はイルであった。ディズニーランドの制服を着て、行列の整備をしていたのである。
「イル! お前何やっているんだ!」
「あっ、おかえりなさいませ、カイル様。見てのとおりディズニーランドの係員です。
今日は得に人が多くて大変で……」
「そんなことを聞いているんじゃない! どうして皇太后発案の策に手助けを
しているんだ!?」
 カイルはヒステリックに声を上げる。
「カイルさま、ここだけの話なんですけれど、このディズニーランドの公益収入すごいんですよ。
これはヒッタイト財政の助けになります。赤字スレスレの財政には、暖かい温泉の
ようなものですよ」
 イルは何の悪気もなしに言う。
「まあまあ、皇帝陛下。陛下達も強力してくれぬか? ワタクシは見てのとおり
白雪姫だが、ここに配役を作っておいた。衣装も用意してある。
すぐに着替えて手伝ってくれ!」
 ナキアはピラリ、一枚の紙をカイル達の前に出した。

カイル ドナルドダックの着ぐるみ
ユーリ ピーターパン
ラムセス ジャングルクルーズのおにいさん
イル=バーニ 行列の係員
キックリ 掃除のおにいさん
カッシュ ウエスタンリバー鉄道の車掌
ルサファ シンデレラ
ミッタンナムワ ダンボまたはプーさん
ハディ ちょっと年増の不思議の国のアリス
双子 白雪姫の7人の小人分身の術


「なんで私がピーターパンなのよっ! 私は女よ!」
 一覧表を見たとたんユーリが怒る。
「お主のようなお転婆はやんちゃなピーターパンがぴったりだ!」
 ナキアのお答え。
「それを言うなら、どうして私がシンデレラなのです? 私は男なのですが……」
 黒髪の綺麗なルサファ。
「あっ、でもルサファなら似合うかもよ。シンデレラ。ドレスが似合いそうよね」
 ユーリがにこやかに言う。3姉妹もうんうんと頷く。
「俺のジャングルクルーズのおにいさんって何だ? 何すりゃいいんだ?」
 いつのまにか輪の中に加わっているラムセス。
「ラムセス! ジャングルクルーズのおにいさんってピッタリよ! 
饒舌だし、ワイルドだし、ナイル河やアマゾン河をクルーズするのよ!」
 いつもは冷たいユーリが誉めまくる。
「そうか! 俺にピッタリか?」
 ラムセスも嬉しそうである。
「それよりも何よっ! ちょっと年増の不思議の国のアリスって!
年増は余計よっ!」
 ハディが怒るのも無理はない。
「ミッタンのプーさんも似合ってるわぁ。ダンボもいいけど」
「そうですかぁ〜」
 ミッタンもユーリに誉められ照れ笑いをする。
「おい! そんなことよりどうして私がドナルドダックの着ぐるみを着なきゃならないんだ。
私は皇帝陛下だぞ! 顔が見えないではないか!」
 カイルがプンプンと怒る。
「皇帝陛下、見えない所の苦労もなさるものです。いつも人の前に立つ仕事ばかりでは
陛下のためにもなりませぬ。たまにはこういう仕事もよいでしょう」
 フフフと笑いながらナキアはカイルに言う。
「私が掃除のおにいさんって……」
 誰にも相手にされないキックリが寂しそうに言った。

 すっかりナキアの陰謀に乗っている皇帝ご一行であった……。

♪おわり



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まずは最初に。篠原先生、第46回小学館漫画賞受賞おめでとうございます!
天河好きな一ファンですがとっても嬉しいです。やっぱり人気があって
面白いのですね、天河は。名作が認められたのですねっ!
闇のパープルアイに引き続き2度目の受賞本当におめでとうございます。

話は変わって、篠原先生ギックリ腰だとか……。つらいんですよねー。
ギックリ腰。私も22のときにふとしたはずみでなりました。
軽いぎっくり腰ですけれど。当時はスポーツセンターに行って
運動はしていたはずなのに、なってしまいました。
整形外科にかかって湿布もらってなおしましたが、本当につらいですよね。
お体にお気をつけてがんばってください。