***21号続き***




 カイルたちは、ナキアが元老院議長の息子キルラの馬車に乗って王宮を
抜け出したことはわかった。しかし、肝心のナキアはまだ見つからなかったのだ。
 更にナキアはキルラの御者を使ってハットゥサの町に消えたという。
 カイルはハットゥサの町に厳戒令を出し、泉のすべてに兵を置いた。
 果たしてナキアは何処に……。

* * *
「ナキア皇太后を探せ!」
「どこだ! ナキア皇太后。イシュタルさまは必ずお守りするぞ!」
 王宮の兵たちはナキアを探すために必死であった。
 そこへ一件のナキア目撃情報がユーリたちの元に入った。
「申し上げます! ナキア皇太后目撃の情報が入りました!
ナキア皇太后とよく似た人物がハットゥサ駅前の本屋『アナトリア』に
入って行ったということです!」
 兵士の一人がカイルやユーリに言った。
「駅前の本屋!? カイル、さっそく行ってみよう!」
「よし、みんなで駅前の本屋に行くぞ!」
 皇帝陛下ご一行は王宮から徒歩10分の駅前書店『アナトリア』に向かった。

 ハットゥサ駅前書店『アナトリア』。
 敷地面積1000坪(何故古代中東で坪の単位が……笑)。
小説、参考書、歴史書、育児書、雑誌、まんが、オタクまんがとすべてのジャンルの本が
揃っている街一番の大きな本屋であった。
「ナキア皇太后がここに入っていったっていうのは本当なの?」
 ユーリは本屋の中を見回しながら言った。
「間違いありません。必ずこの本屋のどこかにいるはずです!」
 ユーリたちは棚にきれいに揃えられた本の間をすり抜けながらナキアを探した。
街一番の巨大な本屋とあって、本の数も多くなかなか探し出すことができなかった。
「あっ! あれは!」
 突然一緒にきたハディが叫んだ。
「あれは……! 三十路過ぎているとは思えないダイナマイトバディ。
由美○おるも某○姉妹もビックリ、決して重力に負けることはない驚異の
胸囲を持つあのナイスバディの女は……!」
 ハディは少女漫画雑誌コーナーの方を指差していた。
 ユーリは即座にハディが指差す方向見る。
「ナキア皇太后!」
 元ヒッタイト帝国のタワナアンナ、ナキアが雑誌を立ち読みしていたのだ。
 見たところ、こちらには気づいていない様子で必死に立ち読みしていた。
 ユーリたちはそうっと近づいてみた。ナキアの読んでいる雑誌は
少女コミック21号であった。
「な、なんと……! ワタクシのことをおばさんとは! ギュゼルの息子カイルめ!
許さぬ!」
 ナキアは少コミ21号の天河を読んでいた。ギュゼルの息子カイルに
『黒いマントのおばさん』呼ばわりされてかなりのご立腹の様子であった。
「ナキア皇太后! 見つけたよ! もう逃がさないからねっ!」
 ユーリは大きな声で叫び、同時に兵士たちがナキアに飛びかかった。
 ナキアはハッと我に返り「チッ!」と舌打ちをして、少コミを元の場所に戻した。
しかし戻したのはいいが、一緒に挟まっていた今回のの付録カイルとユーリの便箋を
抜き取り、襲いかかる兵士をスイスイとすり抜けて、本屋の外に逃げて行ってしまった。
「追え! ナキア皇太后を追うんだ!」
 兵士たちはナキアの後を追った。
「な、なんて逃げ足の速い……でもどうして便箋だけを抜き取ったのかしら?」
 ユーリは不思議に思いながらも兵士のあとについてナキアの後を追った。
 ユーリの後ろからもう一人、
「くぉら〜! 付録ドロボー! 金払えー!」
 そう叫びながら追ってくるのは駅前書店『アナトリア』のレジのおばちゃんであった。
 走って逃亡を続けるナキア。しかし胸が重いのか? ナキアのペースはどんどん
落ちていった。ユーリたちの距離はどんどん縮まり、終いにはユーリはナキアに
追いついてしまった。
「捕まえた! ナキア皇太后!」
 ユーリは息をハアハアと切らせながらナキアのドレスの裾をつかんで言った。
「ええい! 小娘、離すのじゃ!」
 ナキアはユーリの胸をドシドシ蹴っ飛ばし暴れ出した。
「ねえ、どうして付録の便箋だけ抜き取ったの? 何か意味あるの?」
 黒い瞳に疑問の色を浮かべながら聞いた。
「フフフ、この便箋のカイルには鼻毛を書いて、お前にはそばかすでも書いて
バビロニアの弟に手紙でも出そうと思うんじゃい。どうだ! 参ったか!」
「ええええええ! ちょっとやめてよ! そばかすなんて!」
 ユーリはナキアの便箋を必死に取り上げようとした。
「ユーリ! そばかすなんて気にするな! ハナペチャだってお気に入りだ!
おでんばだって大好きだぞ!」
「何言ってるのよカイル! それは某アニメの主題歌じゃない!
カイルだって鼻毛書かれるのよ。なんとかしてよっ!」
「おお、そうか! それは困る!」
 カイルも付録の便箋を取り上げることに協力しようとしたそのとき、
カイルの襟を後ろからつかむ者がいた。
「ちょっと! お取り込み中悪いけど、万引きはいけないよ!
ちゃんと代金払ってよ。少女コミック280円!」
 カイルの襟をつかんだのは駅前書店『アナトリア』のレジのおばちゃんであった。
「あ、どうもすみません……」
 カイルはポケットから小銭入れを出し100円玉を2枚と50円玉を1枚、10円玉を3枚
おばちゃんに渡した。
「ちょっとカイル! 何でナキア皇太后が万引きしたものにお金払ってるのよ!」
 ユーリはカイルに怒った。
「あ……そうか……」
「そぉれ! いまのうちに逃げ出しっ!」
 ユーリの気がカイルに移ったスキを見てナキアは再び走り始めた。
「あっ! 逃げられた! そばかすいやー!」
「おーほほほほ、鼻毛にそばかす、カイルには口紅も塗ってやろう!
ほーほほほほ!」
 ナキアは嬉しそうに飛び跳ねながら逃げていった。
 残された側近たち。
(そうか……あの便箋はそういう使い道があったのか! カイルさまやユーリさまの
わがままに疲れたときにはあの便箋を使おう……)
 よからぬことを考えている皇帝側近メンバーであった。


♪おわり

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まずは表紙。ジュダ君とアレキサンドラですよね。
嗚呼……ジュダ君があんなにカッコよく……。
でもね、ねねおばさんはジュダ君にはずっとおかっぱ頭でいてもらって
ずっとかわいいままでいてもらいたいのー(爆)。
子犬のようなかわいさがいいのよ〜♪
次にネフェルト……久々登場のあなたのバックに背負う花は……
薔薇ではありませんか! バンザーイ!ヽ(^o^)丿
ねねうれしー!!!!!!!o(^-^)oo(^o^)oo(^-^)oo(^o^)o
篠原先生ありがとー!(笑)
最後に……みんな、便箋のカイルに鼻毛書いちゃダメだよ(笑)。



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