***ヒッタイト帝国主催美男コンテスト***
BYねね&まゆねこ



〜プロローグ〜
 
 それは全くちょっとしたきっかけから始まったことであった。
ヒッタイトの首都ハットゥサでも新しい年が明け皇帝主催の新年会
いや新年のパーティの席でのことであった。
 カイルがユーリを傍らにいつにもまして上機嫌に酒を飲んでいる
と、近くにいたナキア皇太后が口を開いた。
「陛下、新年おめでとうございます。ヒッタイト帝国におかれまし
ては、ますますのご繁栄で・・しかし我が母国バビロニアはオリエントの中心でして、
ここにも負けない盛況さがあります。」
 いきなり新年早々ケンカを振ってきたナッキーにカイルもちょっと
カチンときたようだ。
「ほう、負けないとはこれはなかなか・・・例えばバビロニアの
繁栄ぶりとはいかがなことでしょう?母上。」
ナキアももちろん負けてはいなかった。
「例えば都の洗練された美しさ!美女はもちろん私を筆頭に数知れま
せんが、それはどこの国でも集めるでしょう。問題は美男の方です。
我が国いや母国には上品な物腰の貴公子から下々に至るまで美男が
ゴロゴロおります。それに比べるとヒッタイトなど少々劣るようで」

 いつもならナキアの言うことなど気にしないのだが、カイルも多少
酔いが回っていたのだろう。すぐさま反論した。
「では母上、ヒッタイトは田舎の三流国であると言いたいのですか?」
「いや、もちろんムルシリ2世陛下を始めとして側近達にも多少見栄え
 のする者はおるようだが全体数で比べるとどうもな・・」
 ナキアの返す言葉にカイルは激怒した。
「それほど言われるとは・・よろしい母上!ヒッタイトに美男がいない
 のかどうか、とくと確かめるがよい。」
「望むところじゃ!見せてもらおうか!」
カイルのあまりの剣幕にユーリがびっくりして止めに入った。
「ちょっと!カイル。ナッキーの挑発にのって・・・そんなこと止めなよ。
 絶対何かたくらんでるに決まってるってば!」

 しかし、それはすでに遅かった。カイルは元老院のアイギル議長を呼ぶと
「アイギル議長、すぐに国中にふれを出せ!自薦他薦、貴賤を問わず美男
 であると認める者は[ヒッタイト帝国主催美男コンテスト]に応募する
 ようにとな!優勝した者には何でも望みの物を与える・・と」
 アイギル議長は最初びっくりして
「陛下!イシュタル様がお側に上がられた時から思ってましたが、やはり
 そちらの趣味が・・・っと、いやこれは。」
 と言っていたが、カイルから事情を聞くと
「いや及ばずながらこの私も若い頃は美男で鳴らしたもので・・・そういう
 ことなら張り切って出しましょう。」
 と年寄りにも関わらず慌てて走っていった。
 ユーリは、もう呆れてしまった。
「カイル、あんなこと言っていいの?望みの物だなんて!あたし知らないよ」
「大丈夫、ユーリどうせ優勝するのは私だ。お前は大船に乗ったつもりで
 審査員でもしてくれ。私の勇姿を見てもらえばますます愛が深まること疑い
 なしだ。」
 そうカイルは自信満々に言ってユーリにキスをした。

  ユーリは後でハディにそっと言った。
「何か最近カイルはすぐ切れるみたいだけど、どうしたのかな?」
 しかしハディは
「それはユーリ様がちゃんとお相手をしていないから、たまってらっしゃる
 のでは?」と相手にしてくれなかった。
 ユーリの心配をよそにヒッタイト帝国主催美男コンテストが始まろうと
していた。
       
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いよいよ美男コンテストが開始された。司会はもちろん王宮女官長のハディである。
「それでは、いよいよヒッタイト帝国主催美男コンテストの始まりです。
優勝者には皇帝陛下より豪華賞品が送られます。乞うご期待!」
 ずらりと並んだ参加者!そしてコンテストは始まった。

(審査その1)
「それでは、いよいよ第1番目の審査です。いい男は食べっぷりがよい!
大食い競争からです。」
 元気よくハディが読み上げた審査内容は何と!大食い競争であった。
どんぶり飯を次々とたいらげる競争である。
 まず氷室君早々と脱落!ヒッタイトの食事は現代人には合わないのであろう。
続いてザナンザも・・・
「幽霊がたくさん食えるわけないだろう!何だこの競争は!」
 さすがのカイルもかなり苦戦している模様である。
 その中で健闘しているのは?
「おお!さすがは歩兵隊長、ミッタンナムワは食べっぷりが違いますね!
エジプトより参加のラムセスも健闘です。おっとお、こちらも凄い食欲!
えっ片目?みなさん、何とウルヒが参加しています。」
 食欲のミッタン、化け物?のラムセスはもちろんトップ争いにからむとして
密かに参加?していたウルヒの食べっぷりと言ったらなかった。
よほど逃亡中苦労していたのか、それともナキアの虐待か?
「では結果を発表します。1位ミッタンナムワ300杯、2位ウルヒ250杯、
3位ラムセス200杯です。」
 ハディの言葉を聞いてユーリは思った。
「は〜何てくだらない!でも200杯以上食べるなんて!あいつら人間じゃないわよね!」
 カイルは大食い競争では不覚にも?下位に低迷していた。
「う〜ん私としたことが!やっぱり胃のせいか?次は負けないぞ!」

(審査その2)
「続いて第2の審査にまいります。題していい男はモテる。たくさん持てる…
なんちゃって!美男は力持ちでなければいけない!ヒッタイト特産の鉄のバーベル挙げ審査です。」
 ハディが読み上げた審査には、またまた変な内容が…
「よし!私も武人のはしくれ!今度こそラムセスには負けないぞ!」
 心に誓うカイルであった。
「ふふん、ムルシリ。お前もかなりできるようだが腕力とあっては、
このラムセス様が負けるわけにはいくまい!」
 早くもカイルとラムセスの間には強力な火花が散った。
 さすがに2人とも鍛えぬかれた筋肉の持ち主だけあって勝負はほぼ互角!
だが、その2人にも勝る力の持ち主がいた。
「本日の最高得点、ミッタンナムワ!」
 ハディが読み上げた。
「は〜ミッタンナムワなら仕方ないな!」
 カイルとラムセスがため息をついた時、ハディがさらに続けた。
「いや、さらに最高が出ました!ウルヒです!」
 何と!ウルヒはさらにミッタンより上をいったようだ。
 だが、その時!
「その審査ちょっと待って!」
 その声はユーリだった。
「さっきから聞いてると大食い審査、力比べと何かちょっとコンテストと
的はずれな物ばっかり続いてない?それに今のウルヒのジャッジ!
ハディ、もう1回調べてもらって!」
 すると会場からも「そうだ、そうだ!」とユーリに応える声があがった。
そしてウルヒのバーベルを調べた結果!バーベルは鉄ではなく張り子でできていることが判明した。
「それでは協議の結果を発表いたします。ウルヒ選手の違反が確認されたため失格といたします。」
 それを聞いて審査席から「チッ」と言う音が聞こえた。ナキアだった。
「やっぱりナッキー!ウルヒを使って何かたくらんでいたのね!」

 そこでユーリはアッダ・シャルラト王女やアンケセナーメなどおもだった審査員を集めて
審査内容をもう1度協議することにした。その結果…
「みなさまにお知らせいたします。今までの審査はあまりに色気がない!
ということで無効にします。これから正式な審査を再び行うことといたします。
しばらくお待ちください。」
 それを聞いて会場からわれんばかりの拍手が起こった。
こうして美男コンテストはいったん中断、しきり直しとなった。
これを聞いて1番ほっとしたのは、カイルだろう。

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 いよいよ、本格的にコンテストが行われることになった。
 最終審査に残ったのは、カイル、ラムセス、ルサファ、ミッタンナムワ、カッシュ、キックリ、
イル=バーニ、黒太子、ザナンザ皇子、その他、途中棄権となったウルヒや氷室も含まれることとなった。
 一方、審査員は、自称美女揃いの女性キャラ。
 ユーリ、ナキア、3姉妹、ウルスラ、アレキサンドラ、アッダ・シャルラト、セルト、
アンケセナーメ、ネフェルティティの11人であった。
 審査員の一人である、シャラが、ふと不思議に思った。
「ねえ、審査員のメンバーなんだけど…、ユーリ様やセルト姫は、絶対にカイル陛下に入れるでしょ。
ウルスラはカッシュよね。ナキア皇太后は、ウルヒ…。これってかなり私情が入ると思わない?」
「そうねぇ」
 ハディが頷いた。
「公正を期すために、HPを見ている皆さんに審査してもらうって言うのはどうかしら?」
 リュイが言った。
「それはいいかもしれませんわね」
 聡明なアッダ・シャルラトも賛成のようだ。
「うーん、そうねぇ。私も公正の目で見て審査してもいいんだけど…
誰かさんが後でうるさそうだし…。HPを見ているみんなに審査してもらいましょ」
 時期タワナアンナ(予定)であるユーリも賛成。
 この美男コンテストは、公正を期すために、投票形式で行われることとなった。
「じゃあ、とりあえず最終審査に残った10人に自己アピールしてもらいましょうか!」

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