***ハディでございまぁす!***
〜サザエさん編〜

〜キャスト〜
サザエさん:ハディ
カツオ:ラムセス
ワカメ:ユーリ
タラちゃん:ミッタンナムワ
フネ:タロス
波平:イル=バーニ
マスオさん:カッシュ
中島君:カイル



♪オープニング♪
鉄剣くわえた ラムセス 追いかけて ヒールで かけてく お洒落なハディさん
(注:以下の話とオープニングは何も関係ありません)


「かあさ〜ん、ねえさ〜ん。見て見てぇ〜」
 縁側にあたたかい春の日差しが射し込む磯野家。タマも幸せそうな顔で小さな目を閉じ眠っている。
そんな緩やかな空気を、ラムセスカツオの声が突き破った。タマもビックリして目を開けた。
「どうしたの? ラムセスカツオ? 学校から帰ったのに、ただいまも言わないで」
「ゴメン、ゴメン、ハディねえさん。実はね。これ見てよ!」
 ラムセスカツオは、ハディサザエの顔の前に一枚の紙を出した。
「まあ、これ! 100点じゃない! それもカツオの大嫌いな算数で! どうしたの?」
 ラムセスカツオの出した紙は、算数のテストの答案用紙だった。
「へへへへ。頑張ったんだ。すごいだろ!」
 算数の嫌いなラムセスカツオ。100点の答案用紙を前に得意げである。
「どうしたんでしゅかぁ〜」
 カツオの騒ぎ声に、ミッタンナムワタラちゃんも見に来た。スキンヘッドのタラちゃんを想像してもらおう(爆)
「あら、ハゲタラちゃん。すごいのよ。カツオおにいちゃん。テストで100点取ったのよ」
「それはすごいでしゅー。おめでとうでしゅー」
 ミッタンタラちゃんは、スキンヘッドをテカテカさせながら喜んだ。
「あらあら、何の騒ぎ?」
 みんなが集まっているのを見て、タロスかあさん(フネ)が、割烹着で手を拭きながらやってきた。
「すごいんですよ。カツオおにーちゃん、100点取ったんですー」
 ハディサザエと一緒になって喜んでいるミッタンタラちゃんが言った。
「まあ! 算数で100点! これで、ピラミッドを建てるときに使う三平方の定理もバッチリね」
 タロスかあさんも随分嬉しそうだ。

「おっ、今日はご馳走じゃないか! どうしたんだ?」
 そう言うのは、カッシュマスオさん。いつもの質素な夕食と違い、豪華で、おかずの数も多かった。
「今日は、カツオが算数で100点取ったから、ちょっと豪華にしてみたの」
 ハディサザエは、嬉しそうに言った。やはり出来の悪い弟より、出来のよい弟のほうがかわいいようだ。
「ほう、100点か…。それはすごいな! カツオ。よくやった。やれば出来るんじゃないか!」
 天河一、またはサザエさん一、気難しいイル=バーニ波平も、珍しくラムセスカツオのことを誉めていた。
「どうだ! スゴイだろう! ほら見て!」
 カツオは嬉しさのあまり、また100点の答案用紙をみんなの前に出した。
「おおーっ!」
 偏差値の低い磯野家では100点は相当珍しいようだ(笑)。
「すごいね。おにいちゃん」
 短いスカートから、パンツ丸見えのユーリワカメちゃんも、尊敬のまなざしでラムセスカツオのことを見ていた。
 滅多に誉められたことのないラムセスカツオは随分嬉しそうだった。100点のおかげで、
ご馳走も食べられるとなっては顔の筋肉は緩みっぱなしである。
 ニタつくラムセスカツオの隣で、ユーリワカメは100点の答案用紙をじっと見ていた。
「さあ、みんなご飯にしましょう。今日はワタクシ、サザエがカツオのために腕を振るってお料理したわ!」
 お茶碗を手にとり、皆おかずに箸をつけはじめた。
「ちょっと待って!」
 ラムセスカツオの答案を見ていたユーリワカメが皆の箸を止めた。
「この答案用紙…、全部書きなおしてある! これ、おにいちゃんのじゃないわ!」
「な、何言うんだよ、ワカメ! ちゃんと名前はラムセスカツオになっているだろ!」
 怒って言うラムセスカツオ。
「ううん。名前はそうだけど、この出席番号! ラムセスカツオの「ラ」なら出席番号は最後の方よね。
だけど、この出席番号は7番になってる!」
 眉をしかめるラムセスカツオ。どうやら、100点の答案用紙は自分のものじゃないようだ。
「ほら! よく見て! 答えが全部書きなおしてある!」
「どういうことなんだ?! カツオ!」
 イル=バーニ波平が、厳しい目つきでラムセスカツオを睨む。
 小さくなるラムセスカツオ。もう、隠しとおせないとわかって、自白しはじめた。
「じ、実は…。答案を中島と取り替えたんだ。本当は…20点だったんだ。算数のテスト……」
 ラムセスカツオの友達であるカイル中島君。彼の100点の答案を書きなおして、自分のものにしたらしい。
カイル中島君の出席番号『7番』を直すまで、手が回らなかったらしい。そこはラムセスカツオの失点だ。
「バカモーン! なんでそんな卑怯な真似をするのだ!」
 イル=バーニ波平の雷が落ちた。
「だ、だって、とうさんが今度のテストで50点以下を取ったら、僕の大事に育てている薔薇の盆栽を
捨てるっていうからだ。どうしても…捨てられたくなくって…」
 ラムセスカツオは泣きながら、イル=バーニ波平に言った。
「やっていいことと悪いことがある! 捨てられたくなかったら、きちんと勉強しなさい!」
 ガツン! ラムセスカツオの頭にゲンコツが落ちた。
「そんな卑怯な真似ばっかりしてるから、いつまでたってもファラオになれないのよ!」
 ラムセスカツオのウソ答案の謎を破ったユーリワカメの言葉は、グサリとラムセスカツオの心に刺さった。

♪終わり