***ドラえもん***

                             〜もしもカイルが4次元ポケットを持っていたら編〜



 2000年少コミ7号現在、またもやユーリちゃんはラムセス君のもとにいます。一体連載が始まってから
ラムセス君にユーリを奪われたのは何回目でしょうか? 3回目…? とにかくいつも身分が邪魔して、
すぐに助けに行くことができないカイル君。そんなカイル君が、もしも4次元ポケットを持っていたら…
というお話です。

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「ユーリを助けに行くぞ!」
「なりません陛下! 今、陛下が国を離れられては、政治が乱れます。ナキア皇太后の思うがままです」
 イル=バーニはいつものとうり、必死にカイルを止めた。
「えーい! うるさいぞ、イル!お前にはこれだぁ〜」
 カイルはお腹のポケットに手をつっこんだ。
「タイムふろしきー!」
 カイルはそう叫び、イルにタイムふろしきをふわっとかけた。
 イルはみるみる背が縮んで、カイルの膝くらいの背丈の子供になってしまった。
おさげがとってもチャーミングな、かわいらしい子供である。
「なりまちぇん! へいか! おとどまりを!」
 カイルの足元で必死にイルは暴れている。
「だめでちゅぅ〜」
 イルは小さな体全体で、カイルの足にしがみついた。
「ふん! ちびっこイル=バーニなんかこわくないさ!」
 カイルは、小さなイルの手をふりはらい、王宮を出て行ってしまった。
「うわーん」
 遠くでカイルはイルの泣き声を聞いた。

「カイル陛下! やっぱりユーリ様を助けに行くのですね。馬の用意は出来ていますわ!」
 ハディは嬉しそうに、カイルの月毛の馬を用意していた。
「ありがとうハディ! だが馬は必要ない。私には…」
 カイルはまたお腹の4次元ポケットに手を入れた。
「どこでもドアー!」
 ちいさな4次元ポケットからおなじみのどこでもドアを出した。
「これでエジプトまでいくから大丈夫だ!」
 カイルはどこでもドアを開くと、ドアの向こうにはピラミッドが見えていた。
「じゃ! 行ってくるからな! あとは頼むぞ、ハディドラミ!」
「いってらっしゃい、おにいちゃん!」
 すっかりハディも乗り気である(笑)


 さてさて、ドアの向こうの大国エジプト。エジプトの土を踏みしめたのはよいが、一体ここはエジプトの
どの辺だろう? こういうときは…
「タケコプター!」
 カイルはそう叫び、タケコプターを頭の上に乗せた。
 アクセサリーをジャラジャラつけた格好で、空を舞うカイル。カイルからは、地上のピラミッドが幾つも
見渡せせた。その反対に地上からはカイルのミニスカートの中が見渡せた(笑)<カイルってミニスカートはいてるでしょ♪>
 しばらくタケコプターで飛行していると、ラムセスの館を看板の出ている大きな建物が見えてきた。
カイルは、ラムセスの館の裏山(そんなのあるのか!)に降り立ち、どうやって、ユーリを助けだそうか考えた。
エジプト人のように、肌も褐色じゃないし不法侵入だということはすぐにバレてしまう。
「こういときは…」
 カイルはまたもやニコニコしながら、4次元ポケットに手をつっこんだ。
「石ころぼうしー!」
 石ころぼうし、この帽子をかぶると、姿は消せないが、道に落ちている石ころのように人が気にしなくなると
言うものである。カイルは早速、石ころぼうしをかぶった。坊主頭になったカイルを想像してもらおう。
 坊主頭カイルは、ラムセスの元に捕らわれているユーリも元へ向かった。この間、数々のラムセスの罠や
行く手を阻む敵がいたが、長くなるので省略しておこう(爆)めんどくさいだけ…
 ユーリのいる部屋まで辿り着いた。なんとユーリは花嫁衣裳を着せられているではないか! 
どうやらこれからラムセスとの結婚式だったようである。
「ユーリ!」
 カイルは叫んだ。
 ユーリはキョロキョロしている。なぜならカイルは石ころぼうしをかぶったままだったからである。
カイルは石ころぼうしをとり、ユーリと再会を確かめ合った。
「さあ! はやくここから脱出するんだ。お前はやはりヒッタイト帝国の王妃だ!」
「うん!」
 ユーリは元気にそう言い、カイルと一緒に逃げることにした。
「ユーリ! このぼうしをかぶるんだ。石ころぼうしだ!」
 ユーリに石ころぼうしを渡した。坊主頭のカイル、ユーリ夫妻。この坊主頭2人に一国の運命が委ねられている
と思うと今後が心配である。
 石ころぼうしをかぶった2人の前からラムセスがやってきた。2人はドキドキ。だが、黙っている限り、
2人の姿は見えないはず。しかし…
「はっくしゅん!」
 この時期、エジプト中を舞っている薔薇花粉がカイルの花をくすぐった。
「大丈夫? カイル!」
 ユーリも思わず叫んでしまった。
「カイルだと! さては!」
 ラムセスはぶんぶん剣をふりまわした。カイルとユーリは驚き、必死に剣をよけていた。すると…
すっぽり、2人の石ころぼうしが脱げてしまったではありませんか!
「ムルシリ! やはりお前か! ユーリは渡さんぞ!」
 ラムセスはカイルに向かってきた。
 するとすかさずカイルは4次元ポケットに手を入れた。
「スモールライトー!」 
 カチッとスモールライトの電源を入れ、ラムセスとその回りの兵士達にライトを向けて放った。
『しゅるるるるるる』
 ラムセス達エジプト人は、携帯電話くらい小さくなってしまった。
「わはは! これでもう怖いものないぞー!」
「ほんとね。ガリバー旅行記みたい!」
 2人の脱出は成功したようである。

「さあ、帰るぞ!」
「助けてくれてありがとう、カイル。これからどこでもドアで帰るのね」
「いや、帰るは帰るだが、その前にタイムマシーンで、ユーリの両親に挨拶しに行こう!」
「そうね、それがいいわ。カイル」
 のび太君の机ならぬ、ヒッタイトの泉から、タイムマシーンで2人はミレニアム20世紀に
向かってたび立ちましたとさ。

♪終わり