キックリのシャンプー&リンス
「キックリってなんでそんなに髪がサラサラストレートなの?」
ユーリが自分の髪と比べながら聞いた。
「なんでって……地毛なんですけど……」
少し困った様子のキックリである。
「私なんかクセっ毛なんだよ」
「はい、見ればわかります」
バシッとキックリの顔にユーリの手が飛んできた。
「そういえば、ハディやルサファもサラサラストレートなんだよね……」
「でも、実は、ハディ姉さん……カツラなんですよ。キャッ!」
「そうそう、夜寝る前にカツラ取って手入れしてるんですよ!!」
姉の秘密を暴露する双子である。
「私たちの子供は、ストレートヘアーよね! キックリ♪」
ラブラブなキックリ&双子夫婦をほっといて、一人考えているユーリである。
「……そういえば、ザナンザもサラサラストレートだったなぁ……」
「私を呼んだか?ユーリ!」
「ザナンザ!! どうしたの!?」
「私のことを呼んだろ? ユーリ。だがすぐに戻らなければならない。」
「戻る前に、教えて! どうしてそんなに髪がサラサラなの?」
「私は、蜂蜜を髪にパックしてるのさ。きれいな色艶だろ? おっと、もう戻らなくては……。
またな、ユーリ!」
空に帰って行ったザナンザである。
「ザナンザ殿下は何をしに来たのかしら??」
「時々自分から出てこないと出番がないからよ!」
さっきから言いたい放題の双子である。
ちょうど通りかかったルサファにも尋ねた。
「ねぇ、ルサファ、どうして髪がサラサラストレートなの??」
少し照れているルサファである。
「毎日、黒蜜を髪にパックしています。」
「ザナンザは蜂蜜、ルサファは黒蜜か……。キックリって、なんかトリートメントしてる??」
「……特にないですね」
「ふ〜ん、そうなんだ……」
その夜、ザナンザに言われた蜂蜜を髪に塗りたくったユーリである。
「ユーリ、なんか髪がベタベタしてて甘いにおいがするぞ」
カイルがユーリの髪に手を絡ませて言った。
「明日は、黒蜜をするから」
……一緒に寝たくない……と思ったカイルである。
翌朝、普段と変わらない髪の調子のユーリである。
「私には、蜂蜜は合わなかったんだ。」
そして、今度は、黒蜜を塗っているユーリである。
「ユーリ、今日は、イルと話があるので別の部屋で寝るよ。」
「分かった。お休み。」
それが蜂蜜や黒蜜のせいだとは、思っていないユーリである。
翌朝、やっぱり変わらないユーリである。
「黒蜜もダメか…。やっぱりキックリは何かしてるはず!」
そうしてその夜、ユーリはキックリの部屋をのぞきに行った。
そこで驚くべき光景を目撃した!
「いつもすまんな。」
「なーに。オレ特製薔薇蜜を欲しいというんなら届けてやるさ」
なんと、ラムセスの薔薇蜜をつけていたキックリである。
「さて、せっかく来たんだ。ユーリのところに寄って行くか!
せっかく薔薇も持ってきたし。じゃあな! キックリ!」
「またよろしく頼むよ!」
「おうよ!」
ラムセスとこんなところで通じてたなんて……。と驚くユーリである。
「リンスは、手に入ったけど、シャンプーはどうやって手に入れよう。
シャンプーもなくなってきたからなぁ……」
そうしてキックリが手にしていたのは、ナッキーの黒い水である。
……そうだったんだ。とユーリは満足して自分の寝室に戻った。
「カイル、黒い水が欲しいんだけど……」
とうとう薔薇に侵されたか……。と、あっけにとられた事情を知らないカイルである。
おわり♪