***鼻たれ小僧達〜ぴかぴかシリーズ***
冬になると毎日寒くて、風邪をひきがちである。ひと昔前にはいつも
鼻を垂らしているガキがいたものだが、最近はめったに見かけなくなった。
カイル達の通う学校でも、クラスで風邪をひく者が多くなった。
しかし名門? ヒッタイト小学校のことであるから、子ども達もこざっぱり
として鼻を垂らしている者はほとんどいない。
ただラムセスは例外として……である。彼は寒い日でも外へ出て遊ぶのが
好きだから知らぬ間にツツーと2本の筋が流れてくる。
するとラムセスはそれを袖口でぬぐい何もなかったように遊び始める。
遊びに夢中になり袖口でぬぐう暇がない時には……舌で舐めてしまう。
それに鼻水は時として、ラムセスには武器にもなる。ちょっと気にいらない
奴(たとえばカイルやキックリなど)が何かうるさいことを言ったり、女子
が注意したりすれば……、
「うるさいなぁ〜鼻水つけてやろうか?」
この一言で相手はビビルのである(笑・汚い奴め!)
もちろん先生にも例外なくつけてやった!
「きゃ〜何するんですか! ラムセスくん!」
当たり前のことだが怒られた。
そんなラムセスを苦々しく隣りの席で見つめている者がいた。
もちろんカイルである。自他ともにプレイボーイ、いや女の子にもてると
自認するカイルにとって許し難い行為である。
「ラムセス! 汚いからやめろよ」
何度もそう言って注意するのだが、彼はいっこうに止めようとしなかった。
かえって、言えば言うほどやるのがラムセスである。しかも彼の隣りに
なっってからカイルも同じ穴のムジナ……、いや仲間と思われるようになって
更にいたたまれない思いをしているからなおさらである。
「僕は絶対鼻なんか垂らさないぞ!」
ラムセスを見て決心を更に固めるカイルであった。
しかし、そんなある日のことカイルもついに鼻風邪をひいてしまった。
ティッシュでかんでもかんでも鼻水が出る。ヒンティママに薬を飲まされ
「ハンカチ、ちり紙わすれないでねカイル!」
といつものように家を出たカイルであったが……。
「いっけない! ティッシュ忘れてしまった……どうしよう」
このままではラムセスと同じ鼻たれ小僧! それではダンディを身をもって
証明できない!(ガキのくせに生意気な・爆)
「おい、キックリ! ティッシュをよこせ!」
いつもカイルの言うことをよく聞く仲良しのキックリをつかまえてティッシュ
を取り上げてしまった。
しかし風邪はひどく、すぐに底をついてしまう。
「おい! もう持ってないのか?」
「そんなあ!」
カイルが聞いてもキックリはもう空しく首を振るばかりであった。
『ハディにはさっきもらったしなぁ……ユ、ユーリちゃんには借りるわけに
いかないしなぁ』
さすがのカイルも憧れの女の子に借りる勇気はなかった。
『どうしよう……このままでは』
2 本の筋が鼻をつたってススーと流れてくる。
『誰も見てないよな…』
周りに誰もいないのを見計らってカイルは袖口で鼻をふいてしまった。
やってしまえば何のことはない!
『ほっ! よかった誰も見てない』
こうして仕方がないのでカイルはみんなに隠れてコッソリ袖口で鼻をふいた。
背に腹は代えられないのである! しかしふいた後は鼻の下が
真っ赤になっているのをさすがのカイルも知る由がなかった。
その日の昼休みにカイルはサッカーをやった。相手チームはもちろん
ラムセスがいる。負けるわけにはいかなかった。カイルが蹴ると
ラムセスも負けじとボールを奪いにくる。あんまり夢中になったのでカイルは
鼻から2本の青い筋がスーッと垂れてきたことに気がつかなかった。
ボールを蹴ったと同時に思わず鼻水をペロッとなめてしまった。
サッカーはカイルが1点、ラムセスが1点入れて両チーム引き分けで
あった。チャイムが鳴って教室に帰る途中、また垂れてきた鼻水を
カイルは無意識のうちにペロと舐めてしまった。
「わ!ムルシリ鼻水垂らしてやんの! きったねー」
ラムセスが叫んだ。
「何だよ! お前に言われる筋合いはない! やるかー」
カイルもラムセスに言われてカチンときたので殴りかかった。
「何だ何だ?」
「ケンカだケンカ! 先生ラムセスくんとカイルくんがケンカしてまーす」
しばらく後2人は先生に呼ばれてたっぷり怒られた。カイルとラムセス
は泥と涙と鼻水でもうぐしゃしゃであった。
それから教室へ帰ったカイルを待っていたのは……セルトやアクシャム達
お嬢様軍団!
「大丈夫? カイルくん、ラムセスって乱暴ねえ」
と口々に言ってくれたが…その中の1人が言った。
「ねえカイルくん、鼻の下黒いものがついてるわよ。顔洗ってきたら?」
「えっ?本当?」
カイルは慌てて手洗い場に走った。鏡を見ると確かに鼻の下が黒い。
「あれ〜変だな! 泥がついたのかな?」
ところが、いくらこすっても洗っても鼻の下の黒いのは取れなかった。
「嫌だよ! これじゃ髭みたいだ」
カイルが困っていると、そこへラムセスが手を洗いにやってきた。
ふと見るとラムセスの鼻の下も黒くなっていた。
「おい……ラムセス!お前鼻の下の黒いのどうしたんだ?」
「えっ? あぁ何だこれか? 鼻が出ていつもこすっているうちに
黒くなっちゃったみたいだなハッハッハ」
別にラムセスは気にしたふうもない。
「それ取れるのか?」
カイルが聞くとラムセスは言った。
「う〜ん風邪が治るまで無理かもな? あれムルシリ! お前も鼻の下黒いじゃん!
俺達またおそろいってわけだな♪」
カイルはまたまたガーンときた。風邪が治るまでダメ?
そんなあ僕の美貌はどうなるんだ〜(T_T)
こうしてカイル・ムルシリくんの災難はまだまだ続いた。
しばらく鼻の下を隠すためにマスクをつけての登校となった。
マスクをつけるとかなり重症に見えるが風邪自体はたいしたことない。
かくしてカイルはしばらくの間ひどく咳き込むふりをしなければならなかった。
しかし、それもおしゃべりの弟ザナンザがカイルの友達にこう触れ回ったため、
くたびれ損となることも知らずに…
「あのねぇ兄上って鼻たらしてたから、髭生えたみたいに黒くなっちゃったんだよ〜」
〜終わり〜
いや〜このネタって1度書いてみたかったんだよね!でも等身大の2人
じゃ書けないから、ぴかぴかシリーズが適当かも…それにしても汚い!
BYまゆねこ
確かに、いたよねハナタレ小僧。現実味がありすぎて、本当にキタナイわ!(爆)BYねね
(↑注意:誉めている)