必鯛都帝国襲撃計画by妲己BYまゆねこ



 ある夜のこと。カイルはいつものようにユーリの寝室へ行き
そろそろラブラブモードという頃、突然、部屋の外からキーン、ドカーンという爆発音が・・

「何事だ?このヒッタイト帝国の王宮の庭で!私の目の黒いうち?は
何人と言えど勝手なまねはさせん」
そう言いながら外に出たカイルとユーリが見たものは……
トナカイの杖から黒い水を発射しながら空中戦をするナキア皇太后と
もう1人はナイスバディの謎の美女!
お〜これは天河には珍しい久々の・・と思いながら
「そなたは何者だ?」と一応皇帝の威厳を持ってカイルは聞いた。すると、その美女は
「はあ〜い!あなたが隗留ちゃんね?わらわは妲己よん。この大陸の東から
来たんだけど紂王ちゃんも簡単に術にかかってしまって、つまんないし〜、
そろそろ中東進出ってわけなのん」
「騙されてはいかん!カイル、その小娘は中国史上でも稀なる悪女だぞ!」
 いつになく真剣にナキアが答えた。
「何を言うの?おばさん、この妲己を小娘呼ばわりなんて百年早いわよぉん。
だいたいあなたに悪女呼ばわりされる覚えはないわん」
そう言うと妲己はナキアの攻撃から素早く身をかわした。
「妲己?もしや殷王朝を色香で滅ぼしたという悪女があなたなの?」
ユーリがそう聞くと妲己は答えた。
「あらん、歴史の苦手なあなたがよくわらわのことを知っていたわね。
でももう遅いわよぉん。隗留ちゃんはもうわらわの魅力にメロメロなんだからぁん♪」
「何を言ってるの?だいたいカイルはあたしに首ったけなんだから、
あなたに心を奪われるはずはないでしょ?」
そう言いながらユーリが隣りのカイルを見ると何としたことだろう!
カイルは妲己を見つめたまま既に放心状態!口からよだれまでたらして
「う〜ん、こんなナイスバディの美女を見るのは久しぶり!目の保養だあ!」
 なあんて言っている。
「ちょっとカイル!しっかりしてよ!愛しているのはあたしだけ!なんて嘘だったの?」
 ユーリがひっぱたいても効果なし。
 はっと気づくとどうやらカイルだけじゃなく王宮中の男達がデレデレしていた。
「ふふ〜ん、わらわの書(リスト)によると現在必鯛都帝国で仙人の資格を
持つ者は隗留ちゃんと那鬼阿おばちゃんって書いてあったんだけど、
たいしたことないわねん。太公望ちゃんより先に封神させてもらうわよん」
「何を言うか!私の術を受けてみよ!「黒水霊酒」じゃ〜」
ナキアの杖の先から黒い水が飛び出した。
  
 しかし何としたこと!さすがのナキアの黒い水も歯が立たないようだ。
 ついにユーリは立ち上がり鉄剣を手にした。
「今回に限っては珍しくナッキーと意見が一致したわね。
男達は頼りにならないから3姉妹!妲己と戦うのよ!彼女の国にはまだ鉄はないはず!」
「わかりました。ユーリ様、あんなぶりぶり女は私たちの敵!やっつけちゃいましょう」
 3姉妹達もだいぶ頭にきているようである。
「だめだめん。一応那鬼阿おばちゃんも宝貝を使えるようだけど、わらわのは
特Aランクなのん。悠里ちゃんもイシュタル返上よん。日本人の異民族は
蟲盆にしてあげるから覚悟よぉん」
ナキアの「黒い水」はいつから「宝貝」になったのか?は謎だが、
ユーリ達は絶体絶命のピンチに陥った。
カイルは女好き?の悪い癖が出てあてにならないし困ったものだ。
「ホホホホ、もうすぐこの題名は「天は黄色い河のほとり」に変わる時が来る
ようよん。覚悟はいい?悠里ちゃん」
「妲己、あなたのような人は許せないわ!ここは中国じゃないのよ」
「いやん、ダッキーって呼んで!もうすぐヒロインはわらわのものなんだからん」
そう言いながら戦う妲己なのに仙女だけあってとても強い。
ユーリが「もうだめ!」と思ったその時だった。

「はははは」と言う笑い声とともにラムセスが現れた。
「何だって?この題名は「天はナイル川のほとり」になるんだ。
それにこの臭いは何だ?俺の薔薇の香りで吹き飛ばしてやる」
ラムセスの出現に妲己はちょっと慌てたようだった。
「何と!わらわの誘惑の術を見破るとは?羅夢ちゃん?
そんなのわらわのリストにあったかしらん?」
「見たところナイスバディの美女らしいが、ちょうどよい!俺と勝負だ! 
いくぞ宝貝!「薔薇菌」くらえ〜!」
 突然ラムセスの右手から薔薇が無数に飛び出した。さしもの香り「誘惑の術」
もラムセスの「薔薇菌」には勝てない!いや薔薇の香りが強すぎたと
言うべきか…恐るべし「宝貝・薔薇菌」
やがてカイルにかかった術も解けて
「いったいどうしたんだ?私は?」
 とカイルが気づくころ
「いや〜遅れてすまんのう。ムルシリ2世陛下」
 と言う声とともにカバいやもとい四不象という霊獣に乗った男がやってきた。
「太公望殿!いくら何でもここは領域外だ。集○社と小○館というだけの違いではないぞ」
 なぜかカイルも太公望と知り合いのようである。
「すみませんっス。実はご主人が○村屋のアンマンを・・」
「こら四不象!ばらすでない。そういうわけで妲己、わしらは帰らねばならん !」
「いやいやん、妲己はもっとここにいるん!」
「いや、そうも言ってられん!少年誌が少女誌を騒がせた罪も大きいのじゃ!
陛下!お騒がせしたのう。こらスープー帰るぞ!」
 そう言って太公望はキックリと意気投合して
「お互いご主人には苦労するッスねえ」
 なんて言っている四不象の尻を蹴飛ばして帰路についた。
 こうして無事に妲己によるヒッタイト帝国襲撃は収まったかに見えたが、
実は新たな火種、カイルとユーリのケンカを残したようである。

                                     〜終わり〜