***2学期終業式***
カイルとラムセス達の通う小学校もいよいよ2学期の最後の日となった。 全校生徒達が体育館に集合し、終業式が始まった。 例によってお決まりの校長先生のお話である。冬休みの注意や約束の後、 校長先生は言った。 「いよいよ20世紀が終わり21世紀がやってきます。みなさんはこの記念 すべき年を見られるのです。素晴らしいことだとは思いませんか?」 その後カイル達は教室に帰った後、この話題で持ちきりであった。 「すごいねえ〜いよいよ21世紀がくるんだって!」 ユーリが興奮して言った。 「そうなんだ! すごいことなんだよ」 と、カイルも相づちを打った。 すると途中からどかどかとやって来て話題に入っってきた奴がいた。 ミッタンナムワである。 「おいおい! 何の話題? 21世紀ってどんなケーキだ?」 相変わらず食べることにしか興味がないらしい。 「馬鹿! ミッタン! 21世紀という新しい世紀がくるんだよ!」 カッシュが反論した。 「おい、それってそんなにすごいことなのかよ?」 とラムセスも話題に加わって言った。 「そうですね……千年紀つまりミレニアムが変わるってことですから」 と物知りのイル・バーニが言った。 「洗面器? それじゃたいしたことないじゃん! 俺はてっきり世界の終わり が来るとかミイラが復活して大変なことになるとか思ってたのにさ!」 と大ボケなラムセスが言った。 「そうじゃないぞラムセス! これはとっても大変なことなんだ」 とカイルが反論した。 「何だよ。じゃあムルシリ! お前俺にわかるように説明しろよ」 そう言われてカイルは困ってしまった。家でも父や母がすごいことだと 言っていたが何がすごいのか彼にもよくわからないのだ。 「そうだね……洗面器がアルミニウムじゃなくなるとかかなあ?」 と適当なことを口走ってしまったカイル。 「何だ! それじゃ俺と似たようなこと考えてるじゃねえか! でもうちの洗面器はアルミじゃなくてプラスチックなんだぞ」 更にラムセスがわけわからないことを言うので回りのみんなもよけい わからなくなってしまった。 そこへ先生が来て「はい静かに! これから通知表を配ります」」 と言ったので話はそこまでになった。だけどとにかく21世紀という とにかくわけのわからないすごい奴が来るらしい! 「よし今学期こそ△返上だ!」 カイルは意気込んでいた。ラムセスと隣同士になったとはいえ2学期は がんばったつもりだ。◎が増えているに違いない。 ところが……今学期は「行動欄」つまり生活態度や性格のところに △があったのだ。しかも「基本的生活習慣」(あいさつとか身の回りとか 普段の生活がきちんとできているかどうか)というところだ。 しかも1番上の欄なのでよく目立つ! 「なぜだ! なぜこんなところが△なんだ?」 カイルがガ〜ンとしていると隣りのラムセスがカイルの通知表を見て言った。 「おっ! 同じところが△じゃん! 俺達って気が合うんだな♪」 するとすぐさま先生に怒られてしまった。 「何を言うんですか! 2人とも!それは気が合ってるんじゃなくって、 3学期はもっと自分たちの机やロッカーの周りをきれいにしろっていうことよ」 カイルはその言葉を聞いて思い当たることがあった。 そういえば……ラムセスの隣りになってから、なくし物や忘れ物が増えたって 言われるようになったんだっけ? あいつが僕の体操服を持って帰ってしま って僕のがないってママに怒られたこともあったっけ? それからロッカー もあいつの隣りで結構間違えてあいつのが入ってたり、クレヨンなんかも 使われてたこともあったような……ガ〜ン! それってラムセスのせいじゃん! 更に帰り際、カイルに追い打ちをかけるできごとがあった。 大好きなユーリちゃんがカイルにこんなことを言ったのだ。 「カイル君ってさぁ……この頃ラムセスに毒されてるんじゃない? さっきは考えてることも同じだったしさぁ! 机の周りもラムセス君の物が あったりして! 結構ぐちゃぐちゃだよね?」 「違う! ユーリちゃんそれはラムセスが……」 カイルが言うとユーリは反論した。 「言い訳するの? それって見苦しいよ。先生にもそれで怒られたんじゃないの? あたしカイル君ちのクリスマスパーティ行くのやめようかな?」 そういうとユーリは誤解したまま怒って帰ってしまった。 「そんなあ! ひどいよユーリちゃん」 こうしてカイルは1学期以上に落胆して帰ることになった。 〜終わり〜 |