ヒッタイトのシンデレラ?



エジプトのロドピスの靴より

天河の二次小説です。
戴冠式が終わった後のラムセス、ハディ、リュイ、シャラとの会話です。


 ユーリ・イシュタルが晴れてタワナアンナに。
 戴冠式はヒッタイトの貴族や高官たち、多くの民衆、異国からの来賓に囲まれ盛大に行われた。
 その中に、金とセピアのオッドアイの男が笑顔で戴冠式を見守っていた。
「平民出身の少女が、皇帝の妃となり、女性としての最高位、タワナアンナとなる。
ヒッタイト版、ロドピスの靴だよなぁ〜」
 ラムセスがタワナアンナ冠をかぶったユーリを見て呟く。
「ロドピスの靴?」
 近くで聞いていたリュイとシャラが首をかしげる。
「エジプトに古くから伝わる神話だ。

むかしむかし、ギリシャにロドピスという少女がいたんだが、幼い頃に海賊にさらわれ、
サモス島の金持ちに奴隷として買われる。
ある日、ロドピスが庭園で水浴びをしていると、一羽の鷲が舞い降りてきて、ロドピスの靴の片方を奪って飛び去った。
鷲はそのまま首都メンフィスに飛び、王の頭上を旋回してから、靴を彼のひざの上に落とした。
王はその靴の美しさと出来事の不思議さに心打たれ、エジプト中に使いを出して、
ついにロドピスを探し当てた。王はロドピスを妃とし、鷲をホルス神の使者と考え、神意であると考えた。
こうして、元は奴隷だった少女は王妃となり、彼女が死ぬと、王はピラミッドを建ててその記念とした。

という話があるんだ。
もちろん、ユーリは奴隷じゃないし、靴も落としていないが
平民が王の妃になったという点では同じだろう」
「へ〜え、そんな話がエジプトにあるのねぇ」
 リュイとシャラは関心しながらラムセスの話を聞いていた。
「そうだわ!」
 双子たちの隣で話を聞いていたハディが高い大きな声をあげる。
「どうしたの? 姉さん?」
「ユーリ様がヒッタイト帝国の皇妃となった話を……タワナアンナとなった軌跡を『ロドピスの靴』のような神話として
記録に残すのよ!」
 ハディの瞳は輝き、興奮するように言った。
「姉さん、それいい! 皇妃になったユーリ様は、民衆のあこがれ。ロドピスの靴みたいに、みんなに語り継いでいってもらいたいわ!」
「名案ね、姉さん。カイル様とユーリ様の素晴らしさを後世に永く残すしましょう!」
 双子たちもハディの提案に大賛成であった。
「だが、どうやって残すんだ? ロドピスの靴は神話として語り継がれるだけでなく
粘土板としても記録に残っているんだ」
 ラムセスが盛り上がっている3姉妹に水を差す。
「粘土板の記録……確かに、私たちが直接書くわけにはいかないわね……」
 3姉妹が顔を見合わせる。
「王宮の書記官、イル=バーニに書いてもらったらどうだ?」
 ラムセスが提案する。
「とんでもない! お忙しいイル=バーニ様にこちらからお願いなんてできません!」
 ハディは髪を振り乱し、高速で首を横に振った。
「じゃあ、キックリは?」
 リュイが夫の名前を出す。
 3姉妹は互いに顔を見合わせる。
「そうね、キックリがいいわ!」
 もう一人の妻も同意した。
「そうね、宝塚DVDで

 『私の役目は後世の皆様にカイル様の素晴らしさを伝えること……』

って言ってたものね! ユーリ様のタワナアンナへの軌跡を伝えるということは、
カイル様の素晴らしさを伝えることにもなるものね!」
「うんうん、そうね、そうね!」
 ハディは興奮し、頬が紅潮していた。妹たちも目を輝かせている。
「じゃあ、さっそくキックリに頼みに行きましょう! 
カイル様の素晴らしさを伝えるって言った証拠はあるものね。ほら、DVD!」
 リュイとシャラがどこから持ってきたのか、DVDを出す。


天は赤い河のほとり/シトラスの風 -Sunrise- (DVD)

「キックリ〜!」

 3姉妹の声がヒッタイト王宮に響き渡る。
 ラムセスは3姉妹の後ろ姿を呆然と見つめる。

『ロドピスの靴』

 エジプトに伝わる本当の神話だが、自分が話したせいで
キックリにとんだ迷惑がかかったのではないかと一瞬不安になる。
 だが、カイルやユーリにとって悪いことではないはずだ。
 ラムセスはヒッタイトの王宮に背を向けて、エジプトへの帰路を急いだ。

 ユーリのタワナアンナへの軌跡が、後世の人々に伝わったかどうか――。
 それは後世の人々しか知らない。

♪おわり

***

シンデレラの謎という本を読んでこのお話を思いつきました。

シンデレラについては世界各地に色々なお話があるんだと再認識しました。
詳しく解説してある本です。
日本だと鉢かつぎ姫がシンデレラの話と類似とカテゴリー分けされていました。
鉢かつぎ姫よりも落窪姫じゃない? とつっこみたいですが、
世界各地の色々なシンデレラのお話が読めます。

落窪姫もおすすめですよ〜。
私は田村聖子さんの小説が好きです♪


漫画だとこちらですね。
山内直美さん、なんて素敵にジャパネスク、ざ・ちぇんじ、読みました〜。





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