郵便局からはじまる恋?




 これはですねぇ。まだコミケに参加してたヲタクだった頃のお話。
(今もヲタクだろ!というつっこみはお控えください)
 定額小為替で同人誌の通販もしていた為、職場近くの郵便局によく顔を出していました。
あるとき、400円分の小為替を7枚持っていつものように窓口で換金しました。
窓口に座っていたのは、私と同い年くらいの男の人。
同人用語で例えると受けっぽいちょっとかわいい感じでした。
400円が7枚分、2800円渡されなきゃいけなかったのですが、一枚数え間違えられて
6枚分の2400円渡されてしまいました。私もそのとき当直明けでぼーっとしていたので、
気づかずに帰宅してしまいました。
 夕方になって、郵便局から電話。
「申し訳ありません。一枚こちらで数え間違えてしまいましたので400円お渡しします」
 のようなことを言われて(実は電話がかかってきたとき寝てた)、
次の日郵便局に行きました。
 私の顔を見ると、受けっぽい男の子がすぐに反応して、「申し訳ありません〜」を
連呼しながら400円を返してもらいました。一緒にお詫びの品?としてお皿をもらいました。
 私がよく郵便局に行くので元から顔くらいはお互い知っていたのですが、
これをきっかけに窓口でちょこっと挨拶する仲に……
(笑)
まあ、私も悪い気はしないかなぁ〜なんて思っておりました。
名前を出すわけにかないので、彼のことを『定額小為替の君』と呼ぶことにします。


 それから数ヵ月後、クリスマスが過ぎ年末大イベントの冬コミを終わらせ、年が明けて仕事始め。
ねねは次回夏コミのために、いつもの郵便局にスペース代を振り込みにいきました。
定額小為替の君が窓口にいたらやだなぁ〜なんて思ってを恐る恐る確認すると……
いるにはいましたが、郵便のほうにいたんです。 ラッキー! 今のうちだ善は急げ!
窓口の番号表を取りました。待ち人数は7、8人。結構待つなぁ〜と思いつつ、定額小為替の君に
気づかれぬよう顔を上げないで、振込用紙を握りしめてひっそり待っていました。
 10分後、機械が私の番号を呼びました。窓口いくと……


なんと定額小為替の君が座ってる……!


 ガーンと思いつつも握りしめていた振込用紙を出さないわけにも行かず……
おそるおそる振込用紙を出しました(注;振込用紙にはでかでかとコミケと書いてあります)。
定額小為替の君はこちらの顔を見ずに振込用紙だけに視線を落とします。
いつもはちょこっと挨拶くらいはするのに、今日は無言。
私もあんまり喋りたくなかったから黙っていました。お金を払って振込の控えをもらい窓口に
背を向けました。次にその控えを夏コミ申込書に貼り付けてポストに投函する作業が残っています。
郵便局のノリで振込用紙の控えをくっつけていると、後頭部になんだか視線を感じます。
何気なく振り返ってみました。

なんと、
定額小為替の君がこちらを凝視している!


 『ゲッ、ヲタクだってばれたのかしら?』
 ねねは肩身の狭い思いで作業を続けます。その間、背中に視線が刺さる刺さる。
ほんの1、2分のことなのにみょーに長く感じました。さっさとココから去ろう!
そう思い、夏コミの封筒を持って逃げるように出口の自動ドアに向かいました。
 ふと足を止め、最後にもう一度振り返ってみると……。

 やっぱりまだ凝視してる!!!

 ねね、逃げるように郵便局を後にしました。



 その後、定額小為替の君とは窓口で会っても、視線も交わさない仲となりました。
今まで頻繁に換金していた定額小為替の意味もきっとわかってしまったことでしょう。




郵便局からはじまる恋じゃなくて終わってますね(^^ゞ



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